4ー6
「ま、ほどほどに頼むぞ。褒められ第一号」
にやりと歯を見せたストラに、アインは あんぐりと口を開ける。
「お、覚えていてくださったのですか!」
正しくは思い出したんだけどな。と、ストラは小さく返す。
アインは向き直って左膝をつくと、右手を胸に当てて頭を下げた。
「あなたの平和の実現を、心より願い、持てる力のすべてで、支援させていただきます。」
頭を上げよと、ストラは腕を組む。
「目指すは平和!志高く、実現のための努力は惜しむべからず、だ!!」
「はい!!」
アインは はにかみ、差し出された手を取る。
魔族で、しかも魔王の子であるストラの「平和」を実現するために。
「ストラ様が褒められたから、私は相手にされなかったとしても、諦めなかったのです」
従者になることを。
「ふ、それならば、褒めるとは実に気分がいいな!」
高々と笑い声がサタン邸に響き渡る。
ここは、今日も平和だ。
さて、冒険者に一つ攻略ポイントを教えておこう。この地のボス、ストラ・サタンには、戦闘を挑まずに語りかけることだ。平和に対する強い思いを持って。
万が一、戦闘強行を試みたならば、それは直ちに従者に斬られ、魔法で焼かれることとなるだろう。
すでに多くの侵略主義者が、二人の平和主義者に返り討ちにあっているように。 END