3ー1

その日の午後は晴れていて、広間へ向かうとアインが驚いたようにこちらに駆け寄ってきた。

「どこかへ行かれるのですか」

「少しその辺を歩いて回ろうと思ってな」

お前も…と言いかけたところでアインが目を輝かせて言葉をかぶせた。

「そうですね!普段からあんなお暗い部屋に籠られていては太陽の元へ出るのが億劫になってしまいますから!」

なんか言葉が刺さる。

「私もお供致します!」

「お前…広間の掃除は……」

「もちろん致しますが、それより重要なことを放って逃すわけにはいきません」

おい、それより重要なことってどういう意味だ。

「俺が引きこもりみたいな反応はやめて欲しいものだな」

「えっ」

「えっ」



かくして。

屋敷を出ると確かに久々で、悔しいほどに太陽が眩しい。
さっそく近くにいた領民が深々と礼をする。

「サタン様、今日も畑にたくさんの作物が実りました。有難うございます」

「おう、見事な良作であるな。感心だ」

コツコツとブーツを鳴らして歩くストラに、アインは続く。

「ストラ様!以前計画していた橋が完成しましたよ!」

「ふむ、ずいぶん立派な橋ができたな。いいことだ」

「ストラ様ー!」

次々に声をかけられ、ストラは手を挙げて答えるとアインはそれに着いていく。
その繰り返しで、小さく町を回るだけで日が暮れてしまった。屋敷に戻った頃には、もうすっかり辺りは暗くなっていた。

阪マキホ
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阪マキホ

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