第7話 城内探検 その①

ナウロは廊下を歩く。
進んでいく廊下にはカーペットがきっちりと敷かれていて、足で踏みしめる感覚が柔らかだった。土足で歩いていいものか、と躊躇するほど未使用に近い清潔感があった。

壁には所々絵画が掛けられていたが、ナウロは何となくルシフの趣味でないような気がした。そういうのにあまり興味無さそうだし、きっと以前の王とかそんなとこだろう。

ナウロは外に出て城の全貌《ぜんぼう》を確認したわけでないから詳細は分かっていなかったが、城がとんでもない大きさを誇っていることを実感していた。
事実、ナウロが歩いても歩いても道が途切れる気配が無い。

森の中で迷う遭難者が思うように、同じ道を繰り返し歩いているのかとナウロは思ったが、よく見ると壁の細かなキズの位置が違ったり、等間隔《とうかんかく》で置かれてある、よく分からない形をした像の欠けた部分がそれぞれ違ったりなど、全て違う道であることをナウロに実感させるには十分だった。

しばらく曲がったりまっすぐ歩いたり適当に歩き続けていると、ナウロは木製のドアだらけの区間に遭遇した。
等間隔に配置されていて、どのドアも全く同じつくりだ。
少し中を見させてもらおうと、ナウロはドアノブに手をかけたが捻《ひね》るまでには至らなかった。
と言うのも、中に誰かいたらどうしようかとナウロが躊躇《ちゅうちょ》したかだった。
ノックをしても応答がなかったことから気配が無いことはなんとなく察していたが、万一ということでナウロはドアノブから手を離した。

またミカさんかルシフに後で何の部屋か聞いてみることにしよう。
ナウロはそんなことを思いながらドアだらけの区間に別れを告げ、一旦戻ろうかと考えたが先ほどの様子だとまだ時間がかかりそうな気がしたので、そのまま城内探検を続行した。


「ーーあたっ」
特に何を考えるわけでもなくナウロはカーペットをぼんやりと眺め下を俯いて歩いていたので、目の前に壁が接近するまで気が付かず、ぶつかってしまった。ヒリヒリと額が痛む。
しかしナウロがぶつかったそれは壁ではなく、重厚な作りの中に気の狂いそうに細かな装飾が施された扉があった。尖った装飾も合わせて成されており、ナウロはここに当たらなくて良かった、と思った。

明らかに他とはつくりが違い、ドアと軽く呼ぶよりかは『扉』と呼んだ方がそれらしく思えた。
ナウロは中がどのようになっているのか気になった。
こんな凝ったつくりだ、きっと中には大事なものがしまいこまれているに違いない。
好奇心に駆られたナウロは先ほどの躊躇は何処《どこ》へやら、何の躊躇《ためら》いもなく扉を開けようとしたーーが。

その見た目に合うように扉自体がなかなかの重さを持っている。
ナウロはなおのこと中を見たくなり、全体重をかけて体全体で扉を押した。
キイィ......と重い音が鳴ったのを感じ、持てる力を全て込めてナウロは扉を押した。
そのまま勢いがついたのか扉はキイキイと開いていき、途中からはほとんど力もいらなくなった。

中の部屋。
それは、無数に『本』が棚に置かれている部屋だった。
どうやって運んだのかすら分からないような大きな本や、ナウロの初めて見る文字が表紙に踊った本、手頃な大きさの赤いカバーがつけられた本、種類は様々だった。
この城の図書館、てやつか。
ぱっと見ただけでも数千は下らない量の本があり、全て読み終わるには人生の全てをかけても終わらなそうだ。
ナウロはそう思いながら図書館(仮)をざっと歩いてみた。

だがそれは言うなれば本の森。行けども行けども本だらけ。
ナウロの読める字ならまだしも、読めない字だらけなので数分もしないうちにナウロは飽きてしまった。
流石にルシフの方も準備が出来た頃だろうと思い、ナウロが入り口に向かうと、どこからかぱらり、と紙のめくれる音がした。
何事かと思ったすぐ、次いで人の声も聞こえた。






ーーーーだれ?

あっと特命
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