賞金の使い方
 大山明日香はとにかく明るく前向きで極めて積極的だ、その前向きの性格は周りから人気を集めている。
 趣味は食事だ、それでよくフードファイトにも出ているが。
 今回はじまるフードファイトについてだ、明日香は笑って言った。
「一番の賞金百万って凄いわ」
「それでやね」
「絶対に優勝するんやね」
「それ目指すんやね」
「そや、絶対に勝ってな」
 そしてと言うのだった。
「百万貰って」
「その百万を好きなだけ使う」
「そうするんやね」
「そうするわ」
 友人達にも笑顔で言うのだった。
「絶対な」
「ほな頑張ってな」
「今回のフードファイトも」
「そうしてな」
「そうするわ、しかも今回のお料理は」
 フードファイトは食べるものだ、それで当然ながら料理が出される。そしてその料理は何かというと。
「たこ焼きやろ」
「明日香ちゃんの大好物やな」
「それやから余計にやね」
「食べられるんやね」
「そやねんね」
「幾らでも食べられるわ」
 それこそと言った明日香だった。
「ほな今からな」
「思う存分食べるか」
「そうするか」
「ほな」
「ああ、そうするわ」
 こう言ってだ、そのうえで。
 明日香はフードファイトに出た、そして居並ぶ参加者達の誰よりもたこ焼きを食べてそうしてだった。
 二百個以上のたこ焼きを食べて優勝した、当然ながら百万円の賞金を得たが。
 賞金を得たところでだ、明日香はあらためて言った。
「さて、どうしようか」
「賞金をどう使うか」
「それはどうするかはやな」
「まだ考えてなかったんかいな」
「そやねん、何に使おうか」
 明日香は彼女にとっては珍しく考える顔になって述べた。
「具体的には」
「好きなことに使えばええやろ」
「それこそ自分の思う様にな」
「そうすればええやろ」
「そやな、ほな思うままに使うか」 98
 明日香は友人達の言葉に頷いた、そしてだった。
 とりあえず遊ぶ為に外に出た、だが。
 そこである話を聞いた、何と今中東では戦乱で難民となり困っている子供達が大勢いると募金団体が言っているのを聞いたのだ。それでだった。
 明日香は足を止めて共にいる友人達に言った。
「大変なことやね」
「いや、それはそうやけど」
「ああした募金って注意せなあかんで」
「結構詐欺とかあるみたいやし」
「実は寄付とかしてへんとかな」
「そうなん、けどあれやろ」
 明日香は友人達にこう言った。
「中等の子供達が困ってることはな」
「それは事実やで」
「ほんまにあそこ今戦争起こってるし」
「シリアがそうやしイラムもまだ大変やし」
「クルド人の問題とかもあって」
「もうあそこはな」
 中東はというのだ。
「ごっつう大変や」
「うち等が言うまでもない位に」
「けどな」
 ここで明日香に言うのだった。
「それで募金して助けさせてもらおって善意を悪用する奴等もおる」
「実はその募金は自分達で使う」
「中東の人等に送るどころか」
「そんな悪い奴等もおる」
「地獄に落ちる位の悪事や」
 こうまで言うのだった。
「そんな連中に騙されたらあかんわ」
「募金が悪い奴等の懐に入るんやったらな」
「そんなん絶対にあったらあかんわ」
「そこはしっかりせなな」
「そうやねんね、そやったら」
 ここでこう言った明日香だった。
「どうしよか」
「そやな、親御さんか先生に話すか」
「それで何処に募金するか決めるか」
「具体的に何処に募金したらええか」
「ちゃんとしたところに募金せなあかんし」
「ちょっと聞いてみるわ」 
 今はこう答えた明日香だった、そして。
 明日香は両親や担任の先生に具体的に何処に募金すればその募金が本当に中東の困っている子供達に届くのか聞いた、そしてだった。
 しっかりとした組織の名前と住所及び電話番号を聞いた、すぐにそこに連絡を取ってだった。
 募金をした、だがその募金の額を聞いて周りは仰天した。
「えっ、あのフードファイトの賞金全部!?」
「百万全部送ったんかいな」
「そうしたんか」
「それはまた凄いな」
「いや、募金するにしてもな」
 それでもと言う明日香だった。
「賞金の使い道どうしよかって思ってたし」
「そこでなん」
「そこで百万使おうって思って」
「それで全部募金したん」
「そうなん」
「そやねん、もうそれならって思って」
 それでというのだ。
「全額募金してん」
「成程な」
「思い切ったな、明日香ちゃん」
「賞金全額募金とか」
「豪快に決めたね」
「そこまでするなんて」
「百万悪い奴に使われたらあかんけど」
 それでもというのだ。
「ちゃんと使われるんやったらええし」
「そう考えてやね」
「百万送ったんやね」
「そうしたんやね」
「そうやねん、ほな次のフードファイトも出て」
 それでと言う明日香だった。
「また優勝目指すわ」
「今度は自分で使うん?」
「自分で賞金使う?」
「そうするん?」
「まあそれは勝ってから貰うわ」
 笑顔で応えた明日香だった、そうしてその次のフードファイトに向かってトレーニングをはじめた。運動をして腹を空かせて食べていくのだった。


賞金の使い方   完


                2018・6・19

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