訓練の時の服
 近江舞子は京都において古都の平和と文化財を守る為に仲間達と共に日々戦っている。だがこの時舞子は仲間達と共に悩んでいた。
 祇園戦隊マイコファイブ、彼等は五人で共に高校の体育館で訓練をしていた。その時に舞子は仲間達に言った。
「ねえ、私達が今着てる服だけれど」
「体操服ね」
「それがどうかしたの?」
 見れば五人共上は白の体操服で下は赤の半ズボンだ、学校指定の体操服だ。
 その体操服姿でだ、舞子は仲間達に言ったのだ。
「もっとヒーローらしい服にしない?」
「ヒーローらしい服って」
「体操服じゃなくて」
「そう、訓練の時の服ね」
 つまり今の服はというのだ。
「こうした体操服じゃなくて」
「違うの」
「他の服にしようっていうの」
「そう言うの」
「そう思うけれど」
 それがというのだ。
「どうかしら」
「別にどうでもいいんじゃ」
 イエローの浜舞子はこう言った。
「訓練の時は」
「そうよね、動きやすい服ならね」
 それならとだ、ピンクのルネ=毎子もイエローに同意見だった。
「それなら」
「今ので困ってないし」
 ブルーの武芸川真衣子もこう言った。
「それでね」
「動きやすいし汚れてもすぐに洗えるし」
 グリーンの魚沼麻衣子も同じ意見だった。
「問題ないでしょ」
「だからヒーローが体操服だと」
 それがと言う舞子だった。
「地味っていうか普通じゃない」
「だからなの」
「駄目だっていうの」
「今着ている体操服は」
「普通だから」
「そう、何かヒーローらしい服ない?」
 舞子はまだ言った、だが。
 ここでイエローがふと言った言葉にはこう返した。
「ブルマとかは」
「いや、あれ下着じゃない」
 舞子はイエローに即座に否定で返した。
「殆ど」
「まあそうよね」
「あんなの穿いて訓練したら」
 それこそというのだ。
「周りに変に注目されて」
「それでなの」
「どれだけ恥ずかしいか」
 実は五人は今は舞子修行の一環として訓練を行っていると言っているのだ、しかもそれで通用している。
「わかったものじゃないわ」
「まああんなの穿いたら」
 ピンクもこう言った、ブルマについて。
「太腿は付け根まで丸見えで」
「そうでしょ」
「お尻のラインもはっきりで」
「下着だからね」
「あれはないわね」
「あんなの穿いたら」
 舞子は現代の女子高生として言った、そのブルマについて。
「どれだけ目立つか」
「というか半ズボンでもね」
 ブルーは半ズボンのお尻のところに手をやってくい、となおしつつ話した。
「こうして時々めくれとか気にしないといけないのに」
「そう、それもあるでしょ」
 舞子はブルーにまさにと応えた。
「下着みたいなデザインでね」
「さらにでしょ」
「ええ、その下の本物の下着がね」
「すぐにめくれて見えるから」
 そうなるからだというのだ。
「アウトよ」
「ええ、そうよね」
「まあブルマなんて今時アイドルのグラビア位でしょ」
 グリーンはさらにシビアな現実を指摘した。
「その目で本物見られるのは」
「ええ、うちの体操服は半ズボンだし」
 今五人が穿いているそれである、まさに。
「だからね」
「もうそれは」
「そう、アウトだから」
 それでというのだ。
「私はブルマはね」
「駄目ってことで」
「他の服にしようかしらって」
「レオタードとか」
 今度はピンクが言ってきた。
「それは」
「えっ、何か大袈裟じゃない?」
「レオタードは」
「そうよ、新体操みたいで」
 舞子はこの競技の話を出した。
「それはね」
「大袈裟だっていうの」
「いちいち本番やるみたいじゃない」
「だから駄目なの」
「それにあれもね」
 レオタード、これはというと。
「身体のライン出るし」
「まあ出るわね」
 イエロ―も否定しなかった。
「実際に」
「そうでしょ、水着じゃない」
 レオタードはそれになるというのだ。
「だから駄目よ」
「まあレオタードで泳いでも」
 イエローはれおたーどについてこう評した。
「違和感ないしね」
「腕は覆われてるけれど」
「そこは水着と違うけれど」
「やっぱりね」
「ええ、あれもね」
「水着と変わらないから」
 それでというのだ。
「アウトよ」
「そうなるのね」
「あれもお尻のライン丸見えで」
 ブルーはブルマと同じことを述べた。
「物凄く注目されるわね」
「盗撮とかされるじゃない」
 舞子はこの危険性も指摘した。
「それに着るのに普通の下着脱いでサポーターだから」
「あっ、下手したら乳首透けるわよ」
 グリーンはこのことを指摘した。
「そうなるわよ」
「それもあるから」
「舞子ちゃんにしては」
「レオタードも駄目ね」
「ええ」
「じゃあもうこうしない?」
 ブルーは考える顔であえてという感じで言った。
「私達の普段のね」
「普段のっていうと」
「マイコファイブの服で訓練するとか」
「まさか。正体ばれるじゃない」
 舞子はブルーの提案に即座にこう返した。
「私達がマイコファイブって」
「それはそうだけれどね」
「だからね」
 それでというのだ。
「それはブルマやレオタード以上にね」
「アウトっていうのね」
「そうよ、正体がばれたらお師匠さんにどれだけ怒られるか」
 五人を指揮する司令でもある彼女にというのだ、まさに京女と言うべき強烈な個性の中年女である。
「わからないわよ」
「お師匠さんの小言凄いからね」
 イエローは師匠のそれを思い出した。
「嫌味で延々と言うし」
「あれ聞きたいの?」
「まさか」
「だったら駄目よ」
「あれを聞くって思うと」
 ピンクもこう言った。
「最初から外した方がいいわね」
「そうでしょ」
「じゃあマイコファイブも外す」
「あの服もね」
「そういえばお師匠さんも昔戦隊だったけれど」
 グリーンはこのことを話した。
「その時の服で出て来ないからね」
「普段はそうでしょ」
「私達と一緒に戦う時以外は」
「だから余計に怒りそうね」
「私達が普段マイコファイブの格好になったら」
「そうよね、じゃあもうね」
 ここでグリーンが言った提案はというと。
「舞妓さんの服でいく?」
「私達のお仕事の服ね」
「それでいく?」
「動ける筈ないじゃない」
 舞妓の服についてはだ、舞子はこう述べた。
「あんな服着たら」
「重くて動きにくくて」
「それでね」
「そう言われるとね」
「そうでしょ」
「まああれはないわね」
 イエローもこう述べた。
「舞妓さんの服は慣れないと動くことすら辛いから」
「そんなの着て運動出来ないでしょ」
「出来る筈ないわね」
「だから無理よ」
「着物自体が動きにくいし」
 ピンクはこのことを指摘した。
「重さだって洋服の倍で」
「あれ着て素早く跳んだり跳ねたりよ」
 そうすることをだ、舞子はピンクに話した。
「難しいなんてものじゃないでしょ」
「確かにね」
「もうこれは一番ないわ」
「何といっても」
「そう、着物で動けたら」
 その舞妓の服でだ。
「もう何かが違うから」
「それじゃあね」
「これもないわ」
「ううん、絵にはなるけれど」
 ブルーは腕を組んで述べた。
「流石に着物では戦いは出来ないし」
「勿論訓練もね」
「だったらね」
「論外ね」
「そうよね」
「流石に」
 こう言ってこれもなくなった、舞妓の服も。
 そうしてあれこれ五人で話した、その結果決まったがその服はというと。
 体操服だった、それで舞子は仲間達にやや憮然とした顔で言うのだった。
「結局これしかないのね」
「というかこれしかないじゃない」
「身体動かす為の服なんだから」
「だったらこれからもこの服で訓練しましょう」
「そうしましょう」
「そうね、じゃあ今日もはじめましょう」
 愛子も仲間達に応えた、そしてだった。
 仲間達と共に訓練を行った、体操服と半ズボンは実に動きやすかった。それで訓練にも最適であった。


訓練の時の服   完


                  2018・6・23

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