脇差の秘密
 主人公はアズマと共に決戦を終えて彼女が解放したかったその人を解放することも出来た、これで万事解決だった。
 だがその後でだ、主人公はアズマを彼の祖国にまで送ってから彼に顔を向けてそのうえで怪訝な顔になって言った。
「ずっと思っていたことだけれどな」
「何だ?」
「御前の武器の脇差だけれどな」
 彼が戦いの時に使っていたそれはというのだ。
「また随分と切れ味がよかったな」
「あれのことか」
「ああ、普通の脇差じゃないよな」
 主人公はアズマにその目を鋭くさせて尋ねた。
「そうだよな」
「わかったか、御前にも」 
 アズマは主人公の言葉を否定せずにこう返した。
「やっぱりそうか」
「そりゃな、それこそ切れぬもの貫けるものはないってな」
 それこそとだ、主人公は彼に話した。
「そこまで凄いとな」
「わかるか」
「その辺りで売られている脇差じゃない」
 侍や忍者といった東洋の影響が強い職業の者達が使っている武器だ、こうした武器も武器屋で普通に売られているものだ。
「高価な品か魔法の品か」
「それにしてもか」
「店にあるものじゃないよな」
「当然だ、俺は一国の皇子だ」
 決戦前にわかったこのことについてもだ、アズマは述べた。
「それならな」
「普通のものなんて持っていないな」
「一番上の兄上が旅に出る時に持たせてくれた」
 まさにその時にというのだ。
「国を継がれるな」
「その人がか」
「皇室に伝わるその脇差をな」
「皇室にか」
「古来からな。何でも東方から来た侍がこの国に来た時に時の皇帝によくしてもらったとのことだ」
「御前のご先祖様にか」
「そうしてもらったお礼にな」
 まさにというのだ。
「皇室にくれたものらしい」
「そうだったんだな」
「その侍は脇差の名前を教えてくれたが」
「ああ、何て名前だったんだ?」
「虎徹といったらしい」
「虎徹!?あの刀か」
 虎徹と聞いてだ、主人公は思わず声をあげた。そのうえでアズマに対して言った。
「おい、それはな」
「脇差の中でもだな」
「逸品中の逸品だぞ」
「何でもお礼ということでな」
「御前のご先祖様にくれたのかよ」
「俺はそう聞いている」
「また凄いのくれたな、そんなの渡してな」
 それこそとだ、主人公は首を傾げさせつつアズマに応えた。
「そのお侍さん武器大丈夫だったのかよ」
「何でも他に長船や菊一文字も持っていたらしい」
「それでか」
「虎徹をくれてな」
 名刀の中の名刀と呼ばれるこの脇差をというのだ。
「そして俺もだ」
「その虎徹を貰ってか」
「冒険を続けていた」
「最初は俺の剣も狙ってたんだな」
「皇室の失われた剣だと思ってな」
「俺の剣は岩に刺さったのを抜いたものだからな」 
 遥かな昔から岩に刺さっていて彼がそれを抜いてその時から彼の剣となっているのだ。
「違うからな」
「すまん、勘違いをしていた」
「わかったならいいさ、しかしその虎徹でか」
「俺は戦い続けていた」
「成程な、じゃあな」
「これでだな」
「お別れだな、それでな」
「また機会があればな」
「ああ、会ってな」
「こうしてな」
「話をしような」
「ではな」
 アズマはここで笑顔になった、そうしてだった。
 二人は握手をしてそのうえで別れた、二人はこの後再会することになった。その時主人公は以前旅を共にしていた何人かの仲間達とも一緒でありアズマは彼等共出会い共に旅をして戦うことになった。


脇差の秘密   完


                 2018・7・22

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