目指せハイスコア
 ジスたんが働いている岡山県倉敷市のゲームセンターでは多くのゲーム機がある、だが。
 店長がジスたんにある日こんなことを言った。
「シューティングや格闘がね」
「最近は」
「前より人気がないね」
「昔は凄かったですね」
 ジスたんはかつてのシューティングや格闘ゲームのことを述べた。
「本当に」
「そうだったね」
「今はUFOキャッチャーとか」
「そっちの方が人気だよね」
「そうなりましたね」
「それで思うんだけれど」
 ジスたんに考える顔で言うのだった。
「今度企画でね」
「それで、ですか」
「うちの店でゲーム大会しようか」
「いい考えですね」
 店長のそのアイディアを聞いてだ、ジスたんは明るい声で応えた。
「それじゃあ」
「ゲームも選んで」
「そうしてですね」
「やっていこう、そうだね」
 店長はジスたんに考える顔でさらに述べた。
「シューティングも格闘もね」
「どちらもですね」
「面白い」
 まさにというのだ。
「そうしたゲームを選んで」
「そのうえで」
「大会を開こう」
「じゃあゲーム選びましょう」
「そうしていこう」
 まずはこれからだった、二人は早速ゲームを選びだした。他の店員達も交えての会議となってだった。
 店長はジスたんにも店員達にも話した。
「大会のゲームは名作を選ぼうか」
「今のゲームよりですか」
「かつての名作ですか」
「そうしよう、昔のゲームはね」
 それこそというのだ。
「難しいけれどやりがいがあった」
「そうしたゲーム多かったですね」
 ジスたんも店長の言葉を聞いて言った。
「本当に」
「だからね」
 それ故にというのだ。
「レトロなファンを呼ぶことも考えて」
「その意味でも」
「ここは昔のゲームを出して」
 伝説とさえ言っていい名作達をだ。
「そうしてね」
「大会を開いて」
「シューティングも格闘も」
「どちらのジャンルのゲームも」
「もう一度沢山の人に沢山プレイしてもらおう」
 店長はこう言ってだ、そうしてだった。
 ジスたんに他の店員達の意見を聞いた、全員それぞれの意見を言っていって議論は白熱した、ジスたんもそうした。
 今のゲームで行うべきという意見もあれば具体的にどのゲームでやるかという話にもなった、だがその激論の末に。
 基本店長が言う名作で大会を行うことになった、それはシューティングはモアイ像が出て来る基本横スクロールでファミコンにも移植されたゲームだった。格闘ゲームは2ラインバトルが有名なゲームとなった。
 その二つのゲームを観てだ、ジスたんは思わず唸った。
「この二つは」
「いいよね」
「凄いですね」
 ジスたんは唸る口調で店長に答えた。
「どちらも」
「どのゲームがいいかって思ってたけれど」
「ここはですか」
「うん、皆色々なゲーム出したじゃない」
「その中で」
「これかなって思ってね」
 それでというのだ。
「今回はね」
「今回は、ですか」
「そう、若し人気があったら」
 大会、それ自体がだ。
「またやろうって思ってるから」
「だからですか」
「今回はね」
「この二つで」
「いこうと思ってるんだ」
「そうですか、それじゃあ」
「今からね」
 店長はジスたんにあらためて話した。
「大会の用意をしようか」
「宣伝もですね」
「SNSでもね」
 ただお店の入り口で宣伝するだけでなくとだ、そうした努力もしてというのだ。こうしたことを話してだ。
 店の方で大会を宣伝した、するとまだ十代の客達はその二つのゲームを聞いてどうかという顔になって言った。
「何か聞いたことある様なない様な」
「滅茶苦茶古いゲームじゃないのか?」
「どんなゲームなんだ」
「俺どっちもやったことないぞ」
「俺もだよ」
 こう言うばかりだった、だが二十代後半以降の客達は。
 その二つのゲームで大会を開くと聞いて目を輝かせて言った。
「おいおい、やってくれるな」
「そうきたか?」
「シューティングと格闘か」
「その二つのゲームで大会やるか」
「面白そうだな」
「久し振りにプレイするか」
「そうするか」
 こうしたことを話してだ、そしてだった。
 主に二十代後半以降の年配と言っていい客達が大会に参加した、シューティングは得点を競い格闘の方は勝ち抜きとなった。しかし十代の者も興味を持って結構な数が参加した。
 大会にはそれなりの参加者が参加したが。
 ジスたんは参加者の年代が様々でそれで店長に対してこれはという顔でこう言った。
「予想してましたけれど」
「ゲームがゲームだからね」
「はい、ですが」
 それでもというのだ。
「参加する人も多くて」
「白熱してるね」
「そうですね」
「やっぱりね」
「UFOキャッチャーばかりじゃないですね」
「ゲームセンターにあるのはね」
「色々あっていいですね」
 ジスたんはこうも言った。
「そうですよね」
「というかね」
「今でもですね」
「色々なゲームがあるんだよ、ただ」
「昔と違って」
「シューティングや格闘はね」
 かつてはゲームセンターのゲームの主流だったがというのだ。
「音楽系とかもあって」
「そういうのに押されて」
「主流から外れたけれど」
 それでもというのだ。
「そこをあえてね」
「こうした大会を開いて」
「皆にあらためて見てもらうこともね」
「いいことですね」
「そう思って大会を開いたら」
「好評で何よりですね」
「うん、じゃあね」
「今回の大会は」
「このまま運営していこう」
 最初から最後までというのだ。
「そうしていこう」
「それじゃあ」
 ジスたんも頷いてだ、店員として大会運営を行う者の一人として働いた。大会はシューティングの方も格闘の方も盛況で。
 店としても満足のいくものだった、それで店長は閉店の時に店員達に笑顔で話した。
「今日は大成功だったね」
「はい、本当に」
 ジスたんが店長に応えた。
「何よりです」
「じゃあ今日はね」
「打ち上げですね」
「大成功だったから」
 それだけにというのだ。
「倉敷の居酒屋に行って」
「倉敷、瀬戸内の海の幸で」
「乾杯しよう」
「そして最後は」
 ジスたんは目を輝かせて言った。
「クリームソーダですね」
「ジスたんの大好物のだね」
「それで〆ですね」
「そこはジスたんの好きにしたらいいよ、けれど今日はね」
「大成功で終わったから」
「二回目もやることも考えて」
 そのうえでというのだ。
「今はね」
「打ち上げで、ですね」
「皆で飲みに行こう」
「そこで乾杯してクリームソーダですね」
 ここでクリームソーダを言うジスたんだった。
「そうしますね」
「うん、じゃあね」
「今から居酒屋に行って」
「飲もうね」
「わかりました」
 ジスたんは店長に満面の笑みで応えた、そうして居酒屋で店長や他の店員達と明るく楽しく食べて飲んで最後はクリームソーダも楽しんでだった。
 店に戻った、そうしてそこで休みまた次の日も店で働くのだった。


目指せハイスコア   完


                2018・10・28

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