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あらすじ

小谷山の麓にある西池は平成二十二年に日本溜池百選に認定された。毎年秋になると北から様々な渡り鳥が渡って来る。中でも大ヒシクイという雁は有名である。真治がカメラを構え雁の初飛来を狙っていると横から見知らぬ男が声をかける。それは六十五年も昔の戦時中、大阪から学童疎開で来ていて真治と友達になった雅彦である。子どもの頃、可愛いかった雅彦は面影もないほど大きな男になっていたが、懐かしさが込み上げ二人は近くの料亭に行き昔を偲び語り合う。当時、地元の人は疎開してきた児童にとても優しくしていた。とくに真治は雅彦と気が合い、よく遊び話し合ったが、都会の子と田舎の子では考え方も大きく違うこともあった。昔を懐かしく語り合い、明くる朝また西池に来ると多くの雁が初飛来した。雅彦は感動して帰って行った。ふた月程して一通の手紙が届き物語は意外な方向へと展開してゆく。

作品更新日 :
2018-11-22
文字数 :
18,227
閲覧数 :
1,737

目次

おさみ

おさみ

プロフィール

みんなの感想 2件のレビュー

  • カバかもん

    5.0

    干した布団を前に雅彦が口にした言葉に心を持っていかれました。素晴らしい台詞ですね。疎開してきた学童の胸の内、郷愁がよく表されていました。
    そんな上手いと感じられる魅力的なセリフが各所に散りばめられています。
    物語に波があり、最後まで飽きずに楽しませてくれます。どんでん返しのある最後...も、見事だと思いました。途中で真治と雅彦をケンカさせたのはとても良かったと思います。
    惜しいと思ったのは、真治の変化、長浜の魅力を語る上での薄さと、長浜が舞台ではなくてもある程度同じ話が出来てしまうところでしょうか。
    しかしながら最初から最後まで、かなり、おもしろい。正統派で真っ向勝負な人情物であり、読む前に感想をご覧になられている方、オススメします。

  • 古橋 童子

    5.0

    この時代を体験されているか、よほどよく調べられた方でなければ書けない作品です。
    昔を語っていた祖母の面影と声を思い出しながら読ませて頂きました。

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