――あるカップルが居たんだ。その日は雨で、車で心霊スポットのトンネルに向かった。
「やだよ。怖いよー」
車から降りて、トンネルまで傘を差して歩いた。
「大丈夫だって!俺がついてるだろ?」
彼女は怯えているが、彼氏はとても楽しんでいた。
二人は腕を組んで、傘を差したまま、トンネルの中を進んで行った。
「何も無ぇなぁー」
「・・・」
「ん?どうした?」
彼女は震えていた。
「そんな怖くないって!大丈夫だ!」
その時だった。彼女の顔が恐怖で満ちていたのは。
彼女は突如走り出し、もと来た道を逆走した。
「おい!どおしたんだよ!?」
彼氏も彼女を追いかけた。彼女は車の中で震えていた。
「おい・・・どうしたんだよ?」
彼氏は聞いた。
「どうして・・・トンネルの中なのに傘にしずくが落ちる音がするの?」
震えた声で彼氏に質問する彼女。
「え・・・?」
彼氏は、自分が握る傘を見ると血で赤く染まっていた―――
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