「カフェ・プレーゴ」
「カフェ・プレーゴ」
昨日、百合と約束をした。
百合だけを愛する約束。
百合以外の誰かを愛さない約束。例え、それが彼方であっても。
そして、百合が自分から離れていかない約束。
その約束の印として、日向の首筋には新しいキスマークが一つ増えていた。
以前の印は、もうすっかり薄くなって消えてしまった。
噛み跡と違って、キスマークは消えるのが早いみたいだ。
自分は、印がないと不安になる。
言葉だけじゃ足りない。
言葉なんて、不確かなものだと彼方に思い知らされたから。
首輪のように、目を引く印が必要だった。
「あー!高橋さん、また絆創膏貼ってる!
昨日も彼女といちゃいちゃしてたんっすかー?」
キッチンのカウンター越しに、明るい声が聞こえる。
振り返ると、日向と同じくらいの身長で、体躯がいい少年が立っていた。
日に焼けて、小麦色になった健康的な肌。自分とは大違いだ。
今はバイト中。ランチタイムのピークを越えて、すっかり店は静かになっていた。
時計は午後三時を回っていて、店にいる客も二、三組程度と落ち着いた時間だ。
この時間は客からのオーダーもなく、空いた時間でディナータイムに使う食材の下ごしらえをしているところだった。
「あんまり茶化すなよ、虎丸。」
彼は、桜井虎丸。
厳つい名前とは裏腹に、爽やかで素直で人懐っこい少年だ。
日向と同じ学校の二年で、サッカー部所属らしい。
部活がない時にだけシフトに入っていて、体育会系らしい言葉遣いが特徴的だ。
虎丸は日向より先に、この店で働いているが、
日向の方が歳が上だからと、不器用な敬語を使ってくれる。
小学校から続けているサッカーで染み付いた体育会系のノリで、
年上の日向を慕ってくれているようだ。
「ちぇー。やっぱモテる男はいいっすねー。」
虎丸は唇を尖らせて、羨ましそうに日向を見る。
「別に…俺はモテるわけじゃないよ。」
野菜を一つ一つ手洗いしながら、日向は言う。
夜は団体予約が入っているらしいから、いつもより仕込みの量が多い。
「何言ってるんすか!高橋さんはモテますよ!学校で有名なんすから!」
虎丸は唇を尖らせたまま、身を乗り出す。
日向は、この店では名字で呼ばれる。
学校では、同じ苗字の彼方と区別するために名前で呼ばれるが、ここに彼方はいない。
だから『高橋さん』と呼ばれるが、呼ばれ慣れない苗字に少しだけ違和感を覚える。
「有名?」
日向は首を傾げて虎丸に問う。
自分が学校で有名だなんて、聞いたこともない。
どちらかといえば、寡黙で目立たない方なのに。
「そうっすよ!すっごい有名っすよ!
女子たちがいつもきゃーきゃー言いながら噂してますよ!」
「噂って、どんな?」
「三年にイケメンの双子がいて、カッコいいだけじゃなくて、誰にでも優しいって!
んで、めちゃくちゃモテるのに、どんなに可愛い子が告白しても、絶対オッケーしない、難攻不落のプレイボーイって!」
「難攻不落って…なんだその胡散臭い噂。
俺、彼女いるし。それに…それ、俺のことじゃないだろ。」
根も葉もない噂話に呆れながら、日向はせっせと野菜を洗う。
夜は百名を超える貸し切り客がいるらしく、サラダに使うレタスだけでも凄い量だ。
レタスを洗い終えても、まだ山のように積まれたトマトやキュウリも残っている。
コース料理のデザートも、この時間から仕込まないと間に合わない。
キッチンの奥では、店長とシェフも仕込みに精を出している。
他のパートさんはもう帰ってしまったし、夜のシフトの人が出勤してくるまで、まだ時間がある。
いつもならランチタイムを過ぎれば帰れるのに、今日はもうしばらく帰れそうになさそうだ。
虎丸はカウンターに手を付いて、暇そうに口だけを動かす。
彼はウエイターの仕事しかできない。彼方と同じで、料理が全くできないのだ。
忙しいキッチンとは裏腹に、静かな店内でウエイターの仕事はないらしい。
よっぽど暇なのか、日向を話し相手にしてこの暇な時間を潰そうとしているようだ。
「うちの学校に、双子なんて高橋さんしかいないじゃないっすか!」
「それは…まあ、そうかもしれないけど…。俺、モテるわけじゃないし、
女子にきゃーきゃーなんて言われたことなんてないよ。」
確かに、こんな田舎の学校で双子は珍しい。
小規模な日向たちの通う高校では、双子は自分たちだけだ。
けれど、そんな噂なんて聞いたこともないし、胡散臭すぎる。
カッコいいだとか、モテるだとか、尾ひれがつきすぎだ。
ああ、でも、彼方は確かにモテてたな。
いつも女子と楽しそうに話していたっけ。
女子の方もまんざらでもなさそうだった。
「…多分それ、全部彼方のことだろ?」
「ああ、もう一人の方の人っすか?」
「アイツは俺と違って、懐っこいからな。俺は話すの苦手だし。」
「何言ってるんすか!
顔がよければ、黙ってても『きゃー!クールでかっこいいー!』ってなるもんすよ、女子は!」
虎丸は両手を頬に添えて、女子の真似をする。
そんなポーズをしても、日に焼けた肌と、程よく付いた筋肉がアンバランスだ。
日向は蛇口を閉じて、洗った野菜の水切りをして、ザルにあける。
次はサラダ用にカットしなくてはならない。
「あ、じゃあ、あの噂は彼方さんですか?」
虎丸は思いだしたように口を開く。
日向は、まな板と包丁を取り出しながら問い返した。
「あの噂って?」
虎丸は、おかしそうに笑いながら語りだす。
「もー、ホント、胡散臭い噂なんすけどね、
誰とも付き合わないけど、誰とでも寝るとか。毎晩違う女の子と寝てるとか。
噂では、女の子百人切りらしいっすよ。さすがに百人は言いすぎっしょー。」
その言葉に、日向は目を瞠った。
思わず、手に持っていたトマトが落ちる。
手から滑り落ちたトマトは、鈍い回転をしてシンクの隅に留まる。
「…ただの、噂だろ?」
そんな噂を全く信じていないように、虎丸はおどける。
「そうっすよ。ただの噂っす。それにしても、ヒドイ噂っすよねー。
フラれた女の子の嫌がらせか、モテない男の僻みっすかねー。」
そう言って、虎丸は軽い調子でケラケラと笑う。
日向はシンクに落ちたトマトを拾って、蛇口を開いて洗いなおす。
平静を装って、溜息を一つ。
「…ホント、酷い話だな。」
尾びれが付いているというレベルの話じゃない。
けれど、火のないところに煙は立たない。
ただの噂ならいいが、日向はその噂を、ただの噂だと笑い飛ばせなかった。
だって、思い当たる節がある。
彼方が髪を切ってから、毎日夜遅くまで家に帰らず何処で何をしていた?
いつもと違うシャンプーの香りや、女性ものの香水の甘い香りを纏わせて、何をしていた?
その頃の彼方の周りは、女子ばかりだった。
虎丸の話が、ただの噂だなんて思えない。
ふいに、遠くの方で店の入り口の扉が開く気配がした。
店の玄関に吊るされている風鈴が、涼しげな音を奏でる。
「いらっしゃいませー。」
虎丸が入口へと駆けていく。
その背中を見送って、日向は肩を落とした。
何をやっているんだ、彼方は。
一体何がしたいんだ。どうしたかったんだ。
散々自分や周りを掻き回して、何がしたかったんだ。
日向は、もう彼方のことを考えるのはやめると決めた。
百合と約束した昨日、決めたんだ。
どうせ、分かり合えるわけがない。
もう、分かり合えるはずがないから。
「高橋君、すっかり虎丸に懐かれてるな。」
急に背後から声を掛けられる。
彼は梨本浩一。カフェ・プレーゴの店長だ。
少し小柄だが、気さくで優しい三十代前半の男で、大きな黒縁フレームの眼鏡をしている。
その眼鏡には度は入っていない。いわゆる伊達メガネだ。
店長曰く、『お洒落眼鏡』らしい。
「同じ学校だからですかね。」
日向は野菜を切りながら、言う。
梨本は日向の隣のシンクで手を洗っていた。
手に生クリームが付いている。夜の予約の客のホールケーキを作っていたのか。
「同じ学校って言えば、もう一人いるぞ?」
「そうなんですか?俺まだ会ったことないかも…。」
カフェ・プレーゴは学校の近くだから、
同じ学校の生徒が何人もバイトしていると思ったが、そうでもないらしい。
日向と虎丸と、もう一人は誰だろう。自分の知っている人だろうか。
「ああ、彼女は夏休み終わらないと、バイト出てこないんだ。
なんか、家庭の事情で夏休みとか長期休みは、遠くで暮らす家族のとこ行ってるらしくて。」
「どんな人なんですか?」
「虎丸と同じ二年生で、可愛いって言うより、綺麗系かなあ。」
「そうなんですか。」
なんだ女の子か。
女の子の知り合いなんて、百合か千秋か真紀くらいしかいない。
三人はバイトをしていないし、二年でもない。
おそらく知らない子だろう。
百合以外の女の子と話すのは、まだ少し苦手だ。
仲良くなれるといいな、と思いながら、日向はトマトを切った。
しばらくすると、大きな足音を立てて、虎丸がホールの方から走ってきた。
「高橋さーん!高橋さんの知り合いって言うお客さんが来てるっすよ!
女の子が二人!巨乳の美女と、ロリっぽいかわいこちゃんっす!」
虎丸は興奮した様子でホールの奥を指さす。
そんな仕草が、まるで亮太みたいだ。
どうして体育会系はみんなこうなのか。
日向もホールの方を覗き込んでみたが、キッチンからは奥の席は見えない。
「…え?巨乳?ロリ?」
日向は女子の知り合いは少ない。
ましてや巨乳なんて、いない、と思う。
…いちいち気にしていないだけかもしれないが。
「奥の五番テーブルっす!彼女っすか?」
虎丸は興味津々な様子だ。
「なになに、高橋君、彼女呼んだの?」
梨本店長も気になるらしく、カウンターから身を乗り出してホールの奥を覗き込む。
けれど、ここから見えるわけもない。
「いや、そんな連絡来てないですけど…」
確かに百合は『今度友達を連れていく』と言っていたが、
日向の携帯電話には、何の連絡も来ていない。
自分を驚かせようと思って、急に来たのだろうか。
「あ、オーダー、アイスミルクティー二つです。」
「ああ。」
ミルクティーは百合が好きな飲み物だ。
やっぱり来ているのは、百合なのだろうか。
そう思いながら、日向がミルクティーを用意していると、梨本店長に声を掛けられる。
「ちょっと顔だしてきたら?」
「え?いいんですか?」
日向が首を傾げて聞くと、梨本店長はニヤニヤと笑みを浮かべる。
そんなに自分の彼女が来たのが面白いのだろうか。
「ちょーっとだけな。」
「ありがとうございます。」
そう言って、日向はトレンチにミルクティーを二つ乗せる。
いつもキッチンで調理ばかりしていたから、こうやってホールに出るのは初めてだ。
そのまま日向はキッチンを出ようとすると、遠くの方から呼び止められた。
「高橋、ちょっと待て。」
「はい?」
日向を呼び止めたのは、カフェ・プレーゴのシェフ、川口順平だった。
梨本店長と同い年の三十代前半で、寡黙だけれど真面目で優しい男だ。
川口シェフは日向のもとへと少し早足で歩いてきて、トレンチに皿を二つ乗せる。
「ほら、これサービスで出してやれ。」
そう言ってトレンチに乗せられたのは、アイスとフルーツが綺麗に盛られた平皿が二つ。
この短時間で用意してくれたのだろうか。
「いいんですか?」
「特別、な。」
「ありがとうございます。」
日向は川口シェフにお礼を言って、キッチンを出る。
五番テーブルは、窓際の一番奥の席だ。
そこの席に座っていたのは、やっぱり百合だった。
「百合。来てたのか。」
「日向先輩!えへへ、来ちゃいました。」
百合は日向を見ると、ふんわりと笑う。
『来ちゃいました』だなんて、まるで押し掛け女房のようだ。
そんな少し強引なところも、可愛いのだけれど。
「びっくりしたよ。何の連絡もないから。」
「ごめんなさい。驚かせようと思って。」
百合の笑顔に、日向はさっきまでの疲れが吹き飛ぶような気がした。
疲れていても、百合の顔を見たら顔がほころんでしまう。
百合の向かいに座る女性は、見たことのない人だった。
そもそも百合と共通の友人なんて、亮太や将悟、真紀くらいしかいないし、当たり前か。
その女性は、上品でおっとりとした雰囲気を漂わせて微笑んでいた。
自分よりは少し年上っぽくて、肩まで伸びた長い黒髪が印象的だ。
開いた胸元からは、ふくよかな谷間が覗いている。
日向は恥ずかしくなって、反射的に谷間から目を背けた。
確かに虎丸の言う通り、巨乳かもしれない。
だけど少しだけ、百合に似ている気がする。
百合を少し大人っぽくしたような感じだ。
「えっと…友達?」
「あ、お姉ちゃんです!」
「…え?お姉さん?」
日向がその女性に視線を向けると、その女性はペコリと軽く頭を下げた。
「どうも、百合の姉の椿です。いつも百合がお世話になってます。」
百合に似た柔らかい微笑みで、椿は丁寧に挨拶をする。
友達を連れてくるとは聞いていたが、まさか姉だなんて。
「あ、その…こちらこそ。
えっと…初めまして、百合…さんとお付き合いさせていただいてます、高橋日向です。」
日向は恐縮気味に不器用な挨拶をする。
百合の家族に挨拶するなんて、緊張する。何か失礼はないだろうか。
そもそもいきなりお姉さんに挨拶だなんて、何の心の準備もできていないのに。
戸惑い、混乱して、かしこまった挨拶をする日向に、百合と椿は顔を合わせておかしそうに笑った。
「あらあら、そんなに緊張しなくてもいいのに。
でも、本当に優しそうな彼氏さんね。ねえ、百合?」
「うん。優しくて素敵な自慢の彼氏なの。」
嬉しそうに、百合は微笑む。
とても仲のいい姉妹なのだと思う。
仲睦まじく笑う姿は、まるで以前の自分と彼方のようだった。
少しだけ、切なくなる。
駄目だ。彼方のことは、考えないようにすると決めたんだ。
百合と椿は伸ばした黒髪も似ているし、柔らかく微笑む姿はそっくりだ。
百合も大人になったら、椿のように綺麗な女性になるのだろうか。
少女のあどけなさから、大人の綺麗な女性に、変わるのだろうか。
そんなことを考えながら、日向はテーブルにアイスティーを並べる。
「これも、よかったらどうぞ。サービスです。」
先程、川口シェフに用意してもらったデザートも一緒にテーブルに並べた。
短時間で作ったとは思えないくらい、綺麗で可愛らしいデザートだった。
アイスに生クリームとフルーツが数種類添えてあって、チョコレートソースがかかっている。
「わあ!すごーい!」
「あら。わざわざごめんなさいね。」
百合は無邪気な笑顔で喜ぶ。
椿は申し訳なさそうに、けれど嬉しそうに微笑んだ。
つられて日向も微笑む。百合の嬉しそうな顔が好きだ。
百合と同じで、椿も甘いものが好きなのだろうか。
二人は喜ぶ顔もそっくりだ。
「百合ったら、本当に甘やかされてるのねー。」
「甘やかす?」
椿の言葉に、日向は首を傾げる。
甘やかされているのは、自分の方だと思う。
恥ずかしい話だが、自分の方が百合に甘えている。
「百合ったらね、毎日毎日『日向先輩が作るご飯が美味しいから、体重が三キロも増えたー』っていつも言ってるの。」
椿はおかしそうに百合の真似をしてみせる。
姉妹だけあって、そっくりだった。
「ちょっとお姉ちゃん!体重の話は内緒だって…!」
百合は恥ずかしそうに、椿を止めようと声を出す。
少し頬が赤くなっていた。
けれど、椿は構わずに言葉を続ける。
「『甘やかされた分だけお腹の脂肪がー』って言っててね。」
「お姉ちゃん!」
恥ずかしがる百合が可愛くて、椿の百合の物まねがおかしくて、日向はつい笑ってしまう。
百合は声を出して笑う日向を見て、拗ねるように頬を膨らませた。
そんな子供っぽい仕草も、可愛らしい。
「もー!日向先輩も笑わないでくださいよ!」
「ごめんごめん。百合があんまりにも可愛いから。」
日向は口元を覆って、笑みを隠す。
百合といると、楽しい。優しい幸せな時間だ。
「本当に二人は仲がいいのね。」
椿はおっとりとした口調で日向を見つめる。
「今日も、このあと百合と過ごすの?」
「その予定…です。」
「もちろん!私と日向先輩はラブラブなんだから!」
日向がはにかんで笑うと、百合も幸せそうに笑う。
そんな二人を見つめて、椿も微笑む。
「うふふ。急にお泊りになっても、私がお母さんに上手く言っておくから大丈夫よ。あ、でも…」
言いかけて、椿は日向に手招きをする。
日向が椿に耳を寄せると、椿は日向の耳元で囁いた。
「避妊はちゃんとしないとね。」
そう言って、椿は無邪気に微笑む。
その言葉に、日向は驚いて小脇に抱えていたトレンチを落としてしまう。
トレンチは音を立てて床に転がった。
「え…っ!?あの…えっと…」
動揺する日向を見て、椿は意外そうな顔をした。
そして口元を手で覆って、おっとりとした口調で続ける。
「あら、もしかしてまだなの?最近の高校生は早いって聞いてたから…ごめんなさいね?」
悪気はないようで、椿は申し訳なさそうに頭を下げる。
そんなことをストレートに言われるなんて、思ってもみなかった。
顔が熱い。自分は今、赤面しているのだろうか。
恥ずかしくて、上手く言葉を紡げない。
「いえ…その…。」
動揺が収まらないまま、日向は口ごもる。
そんな日向を見て、百合は不思議そうに口を開く。
「お姉ちゃん、何言ったの?」
「なーいしょ。百合は、本当に日向君に大事にされてるのね。」
そう言って、椿は少し意地悪そうに微笑む。
日向は床に落ちたトレンチを拾い上げる。
しゃがみ込んでトレンチを掴むと、視界の隅に、虎丸と梨本店長が見えた。川口シェフまでいる。
三人はホールの隅に固まって、こちらを窺っているようだった。
こちらを指さしたり、ニヤけたりしている。
虎丸や梨本店長ならまだわかるが、寡黙な川口シェフですら、楽しそうに笑っている。
きっと、キッチンに戻ったらまた茶化されるんだろうなあ、と思いながら、日向は溜息を吐いた。