嵐は過ぎて 2
真っ暗だ。真っ暗な空間で俺は横たわっている。
そんな俺を、立ってる誰かが見下ろしている。
「やあ。上から失礼するよ」
誰だコイツは。
「グランド・マスター」
は? 何だって?
「だから、グランド・マスターだってば」
変な名前だな。
「いや、これはそう呼ばれているだけで実際の名前じゃ」
判ってるよそのくらい。つーか俺の考えてることが判るのか。
「うん、今キミの……そうだな、“キミ自身”に話しかけているから」
なんだ俺自身って
「今は深く考えないでいいよ。時間も無いから手短に話すね。とにかくキミは今、とてもよろしくない状態なんだ」
だろうね。死んだんだろ。
「あー……そういう事じゃない。キミは死んでないし、僕が言いたいのはキミの生死に関してじゃないいんだ」
生きてるのか。よかったそれが聞けただけで満足だ。それじゃあな。
「待って! なんて勝手なんだキミは! というか僕がキミをここに拘束してるんだ。キミは指一本も動かせないよ」
本当だ、立てない。というか今気づいたけど、お前の顔がよく見えない。
「僕からもキミの顔はよく見えないんだ。でもそれは些末な事さ。いいかい、本当に時間がないから一回しか言わないよ? よく聞いて」
とーりゃんせーとーりゃんせーこーこは
「聞けって言ってんだろ! 何で民謡なんだよ!」
キャラがぶれてる。つーかわりと余裕あんじゃん。
「あ、マジで時間無い! くっそ、とにかく! “上に登リすぎるな”! 分かったね!?」
どーこのほそみちじゃー
「クソが!」