嵐は過ぎて 3
「いやいや、本当に面白いねキミ達……で、彼に封葉(ふうは)は?」
「もちろんまだだ。でも今更やる必要もねーと思うけど」
「一応後でやってみようよ。しかしびっくりしたなぁ……でもあれがなかったら、あたし死んでた?」
「女狐が。全力じゃなかっただろ」
「あははは、お互い様じゃない。わざと攻撃受けて、バランス崩したように見せかけて大振りを誘ってカウンター狙い。ちょっと古典的すぎるよ。でもそれだけ次の攻撃に自信があったんだね?」
「ちっ……馬鹿そうに見えて頭は働くんだな」
「あは、あは。でも昔からこういう事しかしっかり考えらんないんだー」
「……私はどうなる?」
「どうって?」
「元封魔解放団の白蛇だ。私の首には30億かかってるらしいじゃないか」
「今はちょっと上がって35億。すごいよねーさすが最強最悪のテロリスト」
「値段はどうでもいい。私を殺るなら、コイツが元の世界に帰れたらにしてほしい」
「ありゃ、白蛇は冷血だって聞いたのに。意外」
「茶化すな。答えろ」
「だってアナタが白蛇かどうかなんか分かんないし」
「いや、だから自分がそうだって言ってんだろう」
「あたし顔知らないもーん! 裁けるのは当時に面識があった人だけなんじゃない? ともかくあたしは何もしないよん。その時はまだ“シテイ”にいたし?」
「お前シテイの出なのか」
「うん、10年くらいかな。まぁあたしの話はどうでもからさ、二人はこれからどうすんのさ」
「知人の情報屋を尋ねる。トナカの街を目指す」
「おおトナカ! 機関車が出てる街だよね? 私も王都に行くからさ、一緒に行こうよ!」
「冗談だろ。なんでテロリストと鋼新兵が一緒に行動するんだ」
「平気だって。私の顔を知ってる人は鋼新にあんまりいないし、白蛇の顔も知ってる人なんかほぼほぼいないっしょ。っていうかダメって言っても付いて行くから」
「……トナカまでだぞ」
「よっしゃあ! でさ、さっき言ってた情報屋なんだけど」
「昔からの知り合いだ」
「あたしにも紹介してくれる?」
「構わんが……鋼新兵なら情報屋じゃなくても欲しい情報はいくらでも探せるだろ」
「うーん……あたしが欲しいのはそういう“正しい”ルートじゃ出回らない情報だから」
「まぁ詮索はしねーがよ。しかしコイツ起きねーな」
「死んでたりして」
「大丈夫だろ、多分……」