Ⅲ―ⅸ はじめてのみるく
赤ん坊は理解したようにキュリオの要求にこたえていく。
やがて、ボトルの3分の1にも満たない程度で彼女の食事は終わってしまったが、キュリオは感じたことのない充実感を覚えていた。
ミルクのボトルを置いて赤ん坊を両手で抱え直すと、
優しく背中をさすりながら室内を歩き始める。
「明日、一緒に庭を散歩しよう。
見せてあげたい花がたくさんあるんだ」
半ば、独り言のようにつぶやくと赤ん坊から規則正しい寝息が聞こえてくる。
キュリオの首元に顔を寄せ安心したように眠るその顔はどこか幸せそうで、見つめているキュリオの瞳にも至福の色が浮かんでいた。