4ー1
「たあぁぁぁあ!!!!」
大木がまとった蔓をアインが切り裂く。反応を見るが、魔物はビクともせずに枝を伸ばして、軽く民家の屋根を破壊した。
アインは魔物の正面ーー幹から大きな赤い目が覗いているーーに回ると次なる動きを見極める。
魔物が枝を伸ばすとアインがそこに切り裂きに走り、また別の枝が伸びるとそこにアインが向かう繰り返しである。
「私の攻撃がまるで小さな切り傷だ」
息を弾ませてアインは背後のストラへ目を向けた。
「…!?」
本を見ている。
攻撃の合間にちらちらと垣間見るが、彼はずっと座って本を見ている。
危ないので離れてと言おうとするとストラはやっと腰を上げた。
かと思ったら近くの枝を拾い上げ、地面にぐりぐりと何かを書き始めた。
(な、何をなさっているんだ…!!)
その瞬間、うっかり敵の攻撃を受け止められずに、アインは地面に叩きつけられた。
ピクリとストラが気づいて見上げる。アインは大丈夫と言うように、すぐによろめきながら立ち上がった。