3ー3

サッサッサッサッ…

箒が大理石を傷つけぬよう、軽やかな手つきで掃除を進めながらアインは考えた。

(ストラ様と、どうしたら親しくなれるだろうか)

別に、親しくなることで地位や名声を上げやすくするとか卑しい意味ではない。ただ単に、付かせていただくのに何でも言えた方が気が楽だろうという、アインの経験からの推測だった。
しかし上手くいかない。
やはり初日にその場を離れずに議論しておくべきだったのだろうか。

サッサッサッサッ…

(わからない)

けれど。
あの時のように、ストラは人々を褒め称えていた。
和やかな空気があったのはストラがこの領地を、平和にしたい一心で治めているからだ。褒められて伸びるタイプとはよく言ったものだが、この領地の活力はきっとそこから湧いている。

「褒められ第一号かぁ」

ふと情けない声が出て、慌ててアインは口を塞いだ。箒の手が止まる。

褒められ第一号は、覚えております。今もなお、しっかりと。

阪マキホ
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阪マキホ

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