船底にて ―治部

 治部と刑部は黒い船の中へと吸い込まれていく。
 その南蛮船、見た目はごくありきたりなのだが特筆すべきは外から見えない部分にあった。
 甲板から下は三層構造になっていてその最下層、船底には牢が二つ――男を入れるためのものと、女の入れるためのもの――があるのだ。
 船底には日光が差し込むことも風が通ることも一切ない。唯一の光源は牢の外にいる番人のための小さな灯。ごぽごぽという海の水の音だけが響いている。
 人々が閉じ込められていたのはそういうところだった。


 治部の女装は南蛮船に自身が運び込まれる間も、運び込まれてからも気付かれることはなかったので治部は刑部と別の牢に入れられていた。
(人が、思ったよりたくさん……二十人ほどいるか……?)
 視界が塞がれていても人々の寝息や熱のこもった空気から治部はおおよその人数を察することが出来た。
 幸運だったのは外にいる牢の番人たちがまるで番人としての役目を果たさず、酒を飲みながらげらげらと笑っているという状態だったことだ。こんなところから抜けだそうとする者などいないと初めから決めつけている。
(まずは俺が自由にならないとな。もし番人が真面目にこちらを監視していているようならこの技は使えないところだった)
 治部は、ふふ、と口元だけ微笑ませながら手首をもぞもぞと動かし始めた。実は治部、その昔に例の甲賀の者から縄抜けの技を伝授されていた。
 一体どうやって縄抜けをするのか、それを出来る人にしか分からないことで詳しくは形容出来ないが、関節を柔らかくして縄と自分の間にすきまを作ると上手く縄をすり抜けられるのだという。
 治部は(まさか俺が縄でくくられるようなことがあるか)とその技を教えてもらった当時思っていたが何でも学んでおくものだ。
 記憶の糸を手繰り寄せながらなので少し時間はかかったが治部は器用に縄から手を抜くことができた。その調子で目隠しも猿轡もすぐに外してしまった。
 そうして視界が開けてようやくはっきりと分かった。
 牢の中にいるのは女性かまたは子どもばかりということ。酷い怪我や病気をしている者はいないということ。だが同時に皆ぐったりと沈痛な表情をして床にそのまま眠っているということ。
(俺がここへ入れられたあと誰からの反応もないから皆、目隠しや猿轡をされたままなのかと思ったがそうじゃなかった。疲れ果てて眠り込んでいるから人が来たのに気付かなかっただけだ)
 さらわれた人々が良い待遇を受けているとはもちろん考えていなかったが、自分が想像していたものは薄っぺらな恐怖のみだったと治部は思った。
(訳も分からないまま外つ国の船の中へ閉じ込められ、一日の始まりも終わりも自分では感じられなくなり、無為に時間だけが過ぎ、出られる希望はなく、必要最低限の食事だけ与えられる。ずっとこんなところに閉じ込められたらそりゃあ、心が死んでしまう)
 治部がここへ来て初めて気付いたのは人々の心の疲れ。この空間に重くのしかかる淀んだ空気がそれを如実に表していた。
(ここは人がいるべき場所じゃない。早く、絶対に皆でここを出て行こうな)
 治部の胸の火は目の前の光景に逆らうように明るく炎々と燃え立っていた。
「……あれ? 新しく連れてこられた人? 気付かなくってごめん」
 そのとき一人離れて入口に一番近いところで眠っていた女性が目を覚まし、眠た目ながら立ち上がろうとしていた。
「大丈夫。私は味方よ。袖って呼ばれてる。すぐに目のやつと口のやつ、外してあげるから」
「……?」
 会話がかみ合わずに治部がきょとんとしていると袖と名乗った女性も違和感を覚えたようで治部の顔を見つめたまま固まった。
「……あれ? 待って、あなたどうして」
 次いで治部が手にそのまま持っていた、さっき外したばかりの布や縄に焦点が合うと袖の寝ぼけていた目がみるみる見開かれた。
「それ、自分で外したの?」
「ええ。なんとか外しましたよ」
 余計な混乱を招きたくないと治部は声と口調に気をつけながら答えた。
「いや、なんとかなるものじゃないでしょ」
 ぱたぱたと治部の方へ走ってきた袖は改めて治部の顔とその布や縄を見比べた。
 治部の顔はあくまで美しく、薄暗い中でも睫毛が作っている影の下で黒目がちな瞳はきらきらとしていた。口角の少し上がった唇は花びらという例えが一番しっくりきそうだった。
 しかしその手に持っている物が違和感の塊で、一体どうしてこの人が縄を抜けるような技術を知っているのか袖には想像もつかなかった。実際縄を抜けていることも現実にあったことだと思えなかった。
 そうしてもう一度治部の顔を見ると先ほどと違って眉根のあたりから鼻筋にかけて何か鋭く、凛々しいという印象を受けた。見れば見るほどよく分からなくなってくる。
「……あなた、一体何ものなの?」
 袖は思わず口に出して聞いていた。
「わたくしはそなたたちを助けに来た者です」
 心持ち胸を張って治部が言うと、杏仁の種の形をした袖の目が一層、見開かれた。
「それは本当なの? 本当に……?」
「本当ですよ」
 治部がにこりと穏やかに笑うと、袖は目にみるみる涙をあふれさせて治部にしがみついた。
「ありがとう……! 私、このままじゃ死ぬに死ねなかった……みんなに申し訳なくて……本当に、ありがとう……」
 治部は急にしがみつかれて少し驚きながらも『申し訳ない』とはどういうことか不思議に思った。それを知ってか知らずか次いで袖は言った。
「……聞いてくれる? 私、ひどいことしていたのよ」
 苦しげに泣いている人にしがみつかれて話を聞いてと言われれば断れる治部ではなかった。
「良かったらお話を聞かせてください」
「うん……あのね……」
 袖は入口から漏れる光が少しだけ届いているような壁際へ歩いて行ってそこにもたれかかった。治部もちょこちょことついて行って同じように隣に並んだ。
「……実は私、いや、ここにいる半分くらいはそうなんだけど、海賊っていうやつなのよ」
「……はい?」
 予想もしていなかった「海賊」という言葉で治部は思わず顔をきゅっとしかめた。
 それでなくとも治安と物流を乱す海賊は政治の一部を担う者としては特に嬉しくない存在で、中央では数年前から海賊取締令も出して徹底的に締めあげていた。
「それがここ数年とことん上手くいかなくなってね。生活にも困ってたんだけど……」
(そりゃあ、そうだ)
 治部は深くうなずく。まさか袖は『上手くいかなくなった』原因の一翼が目の前にいるとは知らずに話を続ける。
「そこで会ったのが南蛮人ってわけ。生活のために取引をしたの。男たちはそれでどこかへ行ってる。私たちはその人質としてここにいる。でも勘違いしないで。人質といってもむしろ飢え死にが避けられただけありがたかったのよ、そのときは」
「ですがわたくしにはこんなところへ閉じ込められてお袖さんたちが人質としての扱いすら受けているようには見えません」
 少なくとも今の状況を見ると袖たちは南蛮の者の犠牲者としか思えない。
(でもお袖さんたちが南蛮の者と関わろうとするきっかけがあの取締令とは……なんだか複雑な気分だ)
 正しさを強要してもその正しさの元では生きられない人たちはより行ってはいけない方へ突き進んでしまう。かといってそれを野放しにしておくこともできなかった。何が正解だったのか分からず治部は一人苦い気持ちになった。
 袖も治部の言葉を聞いて少しだけ苦い顔になった。
「それがね、私たちまんまと騙されちゃったの。男たちが受けた仕事を果たせないで今年の出航までに船へと帰ってこれなかったら私たちはそのまま外つ国に売られちゃう契約だったのね。でも本当は男たちが仕事を果たして帰ってきたならむしろ、男たちもまとめて売ってやろうっていう腹積もりだったのよ。南蛮人は」
「ではお袖さんたちは初めから人質じゃなくて商品のつもりだったということですか」
 その『今年の出航までに男たちが帰ってこられなかったら女たちが売られる』という契約自体がどうかと治部は思ったが、それだけ生活が圧迫して藁にもすがる思いだったのだ、と考えなおすとやはり胸が痛んだ。
「そ。だからこの状態。今となってはもはや男たちが帰ってこないことを祈るばかりよ。かわいそうだと思う? 私」
「騙されてこんな目に遭われているのですから当然」
 しかし袖はまるで他人に起こったことを話しているようであまり悲観的に見えないのが不思議だった。
「違うの。これは自業自得なの。……私たち、南蛮人が日本人を誘拐して売ろうと計画していることは初めから知ってたし、あわよくば手伝う気さえあったのよ」
「え……」
 淡々と言う袖に治部は冷たい手が自分の心臓を掴んできたみたいにぞくりとした。
「でも自分たちも実際ここへ同じように閉じ込められて、なんてひどいことをしようとしてたんだろうってようやく気付いたの。気付くのが遅すぎたんだけどね。南蛮人と取引なんてしないで訴えへ出ていればこんなことになってなかったのに……」
 自分の身に起きた不幸を話すときには何の感慨もないように話していたのに今、袖は既に泣きそうな顔になっていた。
「ひどいことをしていた、申し訳ないとはそういうことでしたか。よく、ここまで話してくれましたね」
 黙っておくこともできたのに自ら罪の告白をしてくれたことだけでもいかに袖が過去の自分を悔いているか治部は分かると思った。
「だってこれを話さないと、あなたが来てくれたことがいかに有り難かったか伝わらないんだもの。奪ってしまった時間は戻ってこないけれど……でもここから抜け出せるならせめてこれからは元の生活に戻れるから」
「ええ。そうならないといけません」
 少ししんみりとした空気になったそのとき治部の聴覚が、ぎし、ぎしと床のきしむ音をとらえた。
(誰か来る)
 ほどなくして入口の扉の向こうがひときわ明るくなり治部と袖の顔がばっと照らし出された。
(今までの会話は聞かれていないはず、聞かれていても日本語はほとんど分からないはず。一体何の用だ?)
 治部が光の方へ目をやると背の高い男がこちらをじいっと見ているのが見えた。部屋の中を照らす火灯を掲げる人もいるはずなのだが治部からは火灯しか見えなかった。
「あれは誰……」
 治部は袖へ話しかけてぎょっとした。袖は扉の方を見たまま、まばたきもないほどに硬直して顔面蒼白になっていた。
「お袖さん? 大丈夫ですか?」
「……なんでカピタンが今来るのよ……」
「かぴたん、ですか?」
 治部は「かぴたん」とは船長の意味であると思っていた。
 正確には船長の意味に限らずキャプテン、つまり「長(おさ)」の意味なのだが、治部が今までに知っている「かぴたん」は例外なく船長であったし、袖が今言っているのもまさしく船長だから「かぴたんは船長」という認識はあながち間違いでもなかった。
 もう一度扉の方を見ると治部はその「かぴたん」らしき人と目が合った。だが、にまあっと気色の悪い笑みを浮かべてきて船長らしい威厳は全く感じられない。
(なんだあれは。あんなのが人々を捕まえて閉じ込めて、大それたことやっているのか)
 船長は後ろに更に控えていた配下の者に何やら指示を出した後、自分は火灯と一緒にそそくさと引き上げて行った。代わりに残された配下の者が錠を開いて牢の中に入って来た。
「こっちに来る!」
 袖は急に治部の顔を自分の胸へとうずめさせるようにして治部の身体を抱きしめた。
(えっ、なっ、なんだ?!)
 女性特有の柔らかいものが顔に遠慮なく当たっているのだがそんなこと気にしている場合でなかった。袖は震えていて、ただ事ではないと治部はすぐに感じたからだった。
「ここを乗り切らなきゃ、脱出どころの話じゃないのよ」
 袖が切羽詰まった声で小さくつぶやいた。
(ここはかれのやろうとするまま任せておいた方がいいのか?)
 この様子だと恐らく彼女はこれから何がなされようとしているのか知っている。治部は迷いながらもそのまま動かずにいた。
「この人、なんだか具合が悪いんだって。だから無駄よ。帰って」
 袖が威嚇するような低い声で言ったのだが、足音は着実に近づいてくる。
「……こ、来ないで!」
 足音がすぐ近くでぴたりと止まった。袖が治部を抱きしめる力が一層強くなった。
 すると次の瞬間、配下の者は治部にかぶさる袖を簡単にひっぺがして突き飛ばした。
「あっ、お袖さん!!」
 派手に投げ出された袖の元へ治部はすぐに駆け寄ろうとした。だがそれは出来なかった。治部の腕が配下の者に突然ぐいと引っ張られる。
「わっ」
 配下の者はそのまま扉の方へ向かおうとしていた。
 治部は平衡を保つのもやっとで引っ張られる方へ歩かざるを得なかったのに、奇妙にも一息つきたくなるような安堵感をおぼえていた。
(良かった。目的は俺だった……これ以上お袖さんを傷つけるような目に遭わせたくない)
「待って! カピタンのところなんかへ行っちゃだめ!」
 だが袖は這いつくばりながらとっさに腕を伸ばして治部の足首をぎゅっと掴んだ。
「そっちが力づくなら私もよ!」
 配下の者がぴたりと立ち止まって、ぎろりと袖の方を睨んだ。
(いけない!)
 配下の者の足が袖の手に振り下ろされそうとするのが見えた。治部はとっさに自分の足をその落下地点に差し入れていた。
「っ!」
「あなた……!」
 治部はその衝撃を全て自分の足の甲で受け止めて袖の手を踏まなかった。さらに配下の者の足を「何か偶然が重なってそうなった」かのように、ぴんと弾き飛ばして元の位置へ戻させた。
 配下の者は今、何が起きたか全く理解できなかった。
 自分の足は邪魔をしてくる女の手を踏もうとしていたのにいつの間にかその前の状態に足の位置が戻っている。
 配下の者はばっと治部の方を見た。ほっそりとして色白で、そして憂いを帯びた顔をしていた。
 ――一体自分はこのなよなよして見える女に何をされた?
 そもそも配下の者は初めて治部を見たときも不思議に思ったのだった。なぜこの女には手を縛る縄がないんだろう、と。
 目隠しや猿轡と違って縄は結び目が固いので縄から解放されるには切るしか方法がない。女性たちの手は、大人しくしていたら二、三日ほどで解く決まりだった。
 だが自分が確かに船長から聞いたのは、この女は今日来たと。とうとう自分の好みのが来たので早速食ってやるんだと。
 そうなるとこの女は自力で縄を解く術を持ち、さっきの足も動きを見切った上で何事もなかったかのように繕えるくらいの強者ということになる。
 いや、しかしそれならこんなところへ易々と連れてこられるはずがない……悶々としているうちに配下の者は自分の額に脂汗がにじんでくるのが自分で分かった。
(ばれたか、流石に)
 何か様子のおかしい配下の者を横目で見て、治部は正体がばれないように袖を守るのは無茶だっただろうかと気をもんでいた。
 だが配下の者の出した結論は「もう一度だけ試してみよう」だった。配下の者は治部の腕を再びぐい、と引っ張りだした。
 治部は今度こそ非力な女性が必死に抵抗していると不自然でなく思わせる程度に、ほどほど配下の者の力に逆らいながらも未だ治部の足首を掴んで離さない袖に向かって声をかけた。
「お袖さん、必ず無事で戻ってきます。大丈夫ですから。だからどうかもう無理はしないで」
「でもあなた、このままじゃ!」
「何とかなりますから、さあ」
 そう言った治部の瞳はきらきらしているだけでなく、何事にも屈しないような、それは一種の頑固さをも感じる芯に秘めた力強さがあった。
 袖はそれを感じとってこれから起こることが何かを知っていたのにも関わらず抵抗をやめた。それは治部を信じることでもあった。
「必ず無事。約束よ」
「もちろんです」
 そして治部は引っ張られるがまま牢の外に出てしまった。牢には再び錠が下ろされた。
 配下の者は無事に治部を外に出すことができてほっとしていた。
 女の縄は縛り方が下手だったので緩くなっていてほどけた、さっきの足も何かの偶然そうなったんだとこのときには結論づけていた。
 もしそうでなかったとしても自分の任務はこの女を船長室まで連れて行くことで、それさえ達成できればあとは知ったこっちゃないとも思っていた。
 一方、治部も袖をこれ以上巻き込まずに済み、そしてこの配下の者も自分の正体に気付かなかった様子とみてほっとしていた。
(しかしお袖さんの怯え方は気になる。言葉が正しければ俺はこれから『かぴたんのところ』へ連れて行かれる。一体何のためなんだろう……)
 警戒心は湧き出でているのにそんな気持ちに反して治部はずるずると廊下を引きずられて行く。
 さっきまで中に入っていた牢が治部の視界の中でみるみる小さくなっていった。

江中佑翠
この作品の作者

江中佑翠

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