クリムゾンスノウ
 栗村六花は真紅の雪即ちクリムゾンスノウという猫のコミュニティサイトを運営している。このサイトはネットでも評判になり。
 毎日万を越える閲覧者が来ている、だが六花は通っている高校でこのサイトについてどうかという顔でクラスで親しくしている友人に話した。
「この前メールでこんなこと言ってきた人がいたの」
「こんなことって?」
「ええ、アフィエイトしないのかって」
「ああ、それあれよ」
 友人は六花の話を聞いてすぐにこう返した。
「勧誘よ」
「アフィリエイトのなの」
「そう、それでね」
 そのうえでというのだ。
「変なサイトも多いから」
「しない方がいいのね」
「そういうメールでの勧誘ってね」
 友人は六花に真面目な顔で話した。
「おおむねあれなのよ」
「詐欺とかなのね」
「胡散臭いのが多いから」
 だからだというのだ。
「あまりね」
「信用しない方がいいのね」
「というか私達高校生だから」
 それでと言うのだった。
「まだアフィリエイトできないでしょ」
「そうだったの」
「内緒で出来るかも知れないけれど」
「十八歳にならないと」
「ちょっとね」
 そこはというのだ。
「無理だったんじゃないかしら」
「ううん、沢山の人がしているけれど」
「だから年齢内緒でしょ、まあとにかくね」
「このメールのことはなの」
「そう、あまりね」
 どうにもと言うのだった。
「観ない方がいいわよ」
「じゃあ帰ったらそのメール削除しておくわね」
「そうしてね。そうしたメール何処でも来るから」
 それでというのだった。
「一々気にしていたら駄目よ」
「それじゃあ」
「ええ、ただあんたのサイトだけれど」
 友人は六花のその真紅の雪についてさらに尋ねた、彼女もよく出入りしているサイトなのだ。家で猫を飼っているので。
「何でそのタイトルなの?」
「真紅の雪っていう」
「英語でクリムゾンスノウだけれど」
 サイトの名前のことを言うのだった。
「あれどうしてなの?」
「実はね」
 友人のその質問にだ、六花はすぐに答えた。
「猫の名前なの」
「猫の?」
「私が前に飼っていた」
 その猫のことを思い出しつつだ、六花は話した。
「その子の名前なの」
「真紅の雪っていうの」
「雪って名前だったの」
 六花は友人にさらに話した。
「それでなの」
「サイトの名前にしたのね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「真紅はね」
 クリムゾンのそれはというと。
「私が好きな色だから」
「それで真紅の雪なのね」
「そうなの」
「成程ね、ただね」
 ここでこうも言った友人だった。
「雪って名前だったことは」
「ああ、わかるわよね」
「白毛だったのね」
「そうなの、全身真っ白だったのよ」
 笑顔でだ、六花はこのことも話した。
「それですぐに雪って名付けたの」
「そうだったのね」
「そう、そしてね」
 それでと言うのだった。
「悪戯好きで気ままで」
「そこは猫らしいわね」
「いや、悪い子だったわ」
「それで傷までつけられて」
「けれどね」
 それでもと言うのだった。
「可愛かったからね」
「猫好きらしい言葉ね」
「それでね」
「サイトの名前にもしたのね」
「真紅の雪、いいタイトルでしょ」
「確かにね。それじゃあこれからも」
「そのタイトルでね」
「サイト運営していくのね」
「そうするわ」
 笑顔で応えた六花だった、そして家に帰るとパソコンを立ち上げまずは件のメールを削除した。そうしてからサイトの管理をするのだった。


クリムゾンスノウ   完


                      2018・7・17

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