4ー5
「それにしても、昨日は見事な魔法でした」
微笑して、アインは紅茶を注ぎ込む。
魔物の一件で、今、町は復興作業の真っ只中である。
大木の魔物が原因なのは確かなのだが、復興作業に追われたのはストラの魔法で焼かれた建物だった。
「いや、本当すまないことをした…領民たちよ…」
頭を抱えて、長い息を吐く。あれほどまで威力が出るとは。放った本人も魔法陣から弾き出されてしまい、気がついた時には部屋のベッドだったのである。
「しかし、疲れた」
ヘトヘトもいいところだ。
「今日は一日中、書庫に籠っていてもいいくらいだ」
「いつも籠っているでしょう?」
背筋を伸ばして姿勢を正すアインの髪は、右側に高く結び直されていた。
メガネを押し上げると、ストラは隣に歩み寄りポンと肩を叩く。
「従者、認めてやってもいいぞ」
「えっ、本当ですか…!?」
唐突に承認され、驚きながらもアインは喜びで頬を赤らめた。
「う、嬉しいです!ありがとうございます!」
「いや…認められただけで、そんなに喜ぶことはないだろう?」
素直に喜ぶアインに、どこか戸惑いながらもストラは笑い返した。