FIRST*。♪。*ONE
朝、学校に来て、教室の扉を開けると一斉に静まりかえる教室。
私は、気にせず自分の席に座って鞄から本を取り出して読み始めた。
すると一瞬にして教室はガヤガヤ煩くなった。それも殆どが私への陰口。
そう例えば・・・「うっわぁ・・・地味ぃぃ~。」とか「え゛~あれで女子高校生??」など。
私は心の中で(はい。女子高校生ですが何か?)と、対応している。
その陰口は、すぐさま終わりを告げる。
≪キャァァァ~~~~❤❤≫
―――という女子達の雄叫びで・・・。
それは、1人の男子に向ける女子達の雄叫び。
「白瀬君よ!! 「今日も笑顔がキラめいてる!!」」
男子の名は‟白瀬 翼”、17歳。
2年B組の学校のアイドル。
私でも、格好いいと思ってしまう程の整った顔立ち。藍色の髪で髪と似た色の瞳は透き通っている。
いつもそいつは、決まった奴等と登校する。他の男子は、「いいよなぁ~。」と羨ましがる。
そして白瀬は「へへっ。」と笑う。
すると必ず女子が騒ぎまくる。これが朝の2階の廊下。
だから私は、騒ぐ時にササッと、静かな屋上に行く。
階段を駆け上がり、一番奥のギギィ―と鈍い音が響く扉を開ける。
今は春中旬、風が吹くと肌寒い。私は冷えた銀色の手摺りに腕を組むように乗せた。
私は何か落ち着いたように溜め息を吐いた。
『溜め息なんて何日振りだろう・・・。最近仕事ばっかでこんなふうに落ち着けなかったからなぁ・・・。』
私は眼鏡を外し、髪ゴムを外した。三つ網を解くと風になびく。
学校の朝だけは、AGEHAになる。
落ち着ける場所がここしかないから。
その時、ギギィ―ッと後ろの扉が開いた。
『・・・っ!』
”私の秘密はバレても良かったのかもしれない。 だからあの時・・・私は少しホッとしたんだと思う。”