ものろぉぐ
この世の中には、「普通じゃない出来事」と、「普通じゃない人々」というものが存在する。
「普通じゃない出来事」の方は理不尽かつ自分勝手に好きなだけ関係して関与して手出ししてくるのに「普通じゃない出来事」に関係して関与して手出しできるのは「普通じゃない人々」だけであるというあたり、私はあまりそんな出来事を快く思っていない。
少なくとも、そんな出来事を快く思えるものなど、精々「普通じゃない人々」だけだろう。
しかし、一概にそう言えないのも事実。私の知人の一握りにも、私のようにそんな出来事を快く思っていない「普通じゃない人々」がいるのだから。
さて、ここで私が快く思っていない「普通じゃない出来事」、通称「怪忌」についてお話ししよう。
「怪忌」。怪しく忌まれるもの。この世にあふれているもの。
簡単に言えば「怪奇現象」「心霊体験」「都市伝説」「民間伝承」「妖怪變化」の本性。そういっても過言ではない存在のもの。遭遇した人物ごとにその現象は千差万別。あるものは見知らぬ町に迷い込み、またあるものは体に死んだ弟の目玉が浮き上がり、さらにまたあるものは見えてはいけないものが見えるようになった。
「怪忌」。それはあらゆる人物、あらゆる場面、あらゆる時間でも起こるもの。そこに人の悪意があり、恐怖があり、信仰があるかぎり、人の世が続くかぎり消えない何か。それが怪忌である。ただひとつ言えるものがあるとするならば、それは「怪忌は伝染する」ということ。伝わり広まり染め上げる。ひどく質が悪い。
この物語は、そんな怪忌を専門にする「私達の」物語。
私が所長を務める「此方探偵事務所」の物語。
「普通じゃない出来事」に触れた「普通じゃない人々」の物語。
さて、それでは始めよう。
怪異なる、異形達の形態を。