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鳥が鳴いている
その鳥は今までずっと鳴いていたのかも知れず
私がただ気がつかなかっただけなのかも知れない
ふつうのように聞こえているのか
福音か
それとも警鐘か
どこにだって鳥はいるのです
けれども今日はいつになく
よく鳴いているように思える
自分が気づいてやっと
鳥はいるのです
ある科学者は
主体的にものを見よと言います
己の中にある概念についてです
産まれてその後ひとは成長するわけですが
時間の知覚はどうも
大人になるにつれて短くなってゆくようです
さすれば
乳を飲むより知らないみどりごなどは
これは永遠に近い時の停滞を生きている生物という話
O氏など、これを涅槃と言っている
運良く時間を知るに至った我々ですが
ひとと同じ時間などと思ってはいけない
観測におけるそれとは違うのです
鳥はいたのか、いるのか
感じられていたのか、感じられているのか
それがつまり観測によらない、個々における世界のすべてでありましょう
いきものの数のぶんだけ、世界があるのでありましょう