05:『天鈿女』
随分お久しぶりですね。いやぁそれも「また夜にっ」とか言いながら美月が俺の影? に入って行って、それからというもの全然美月は姿を見せなくなってしまいましてね...
俺の生活も特に変わらず物語の進展としては何も代わり映えしない日々が続いていたのでありますよ。
いつもの生活に戻り、あの日以来俺はまた、夜を失った。(きっとあれは夜だったに違い無い)
学校も夏休みに入り、何もする事の無い俺は毎日ゴロゴロゴロゴロ...
もう、以前夜に起きた事も美月に出会った事も夢だったのかもしれないと思い始め出した時...
本当に久しぶりに美月が急に現れたのだった。(本当にびっくりした)
「久しぶり灯夜」
「おっっ‼︎ 久しぶりじゃねーよ!! びっくりしたな!! ゴロゴロしてる時にいきなり下から出てくる奴が何処にいる!!」(つーかどうやって出てきたんだよ)
「ゴメンゴメン寝過ごしちゃって慌てて出てきたから灯夜がゴロゴロしてるの気づかなかったよ」
「ところでお前...何で俺の影の中にいるんだよ?!」
「だって月は夜にしか光れないんだよ 灯夜は夜そのものだから灯夜の中なら安心して眠れるんだよ」
「なんだよそれは...」(俺はベットか!!)
「しょうがないじゃん許してよ~」(え~んえ~ん)
「まぁいいけれど...」(こいつ結構可愛いな)
「ありがとう灯夜」(掛かったな)
「ん? 何か言ったか?」
「なっ何も言っておりませんけれど」
「まぁいいや ところでお前...「また夜にっ」とか言ってたくせに何で昼に出てきたんだ?」
「も~灯夜ーお前じゃなくて美月!!私の名前は美月!!」
「ゴメンゴメン美月!! ところで何でなんだ? それになんか美月透けてないか」
「すっ透けてるって... しっ下着がですか...」
「違うし!! 体自体がだよka・ra・da!!」
「だって夜が来ないんだもん!!また夜が消えちゃったんだよ... それに私が薄くなってるのは前にも言ったけど私は月だから昼には薄く見えるんだよ」
そういうことかだから美月は体内時計が狂って寝入ってしまったって事なのか。
いや、それにしても寝すぎだが...
まっそれはそうと、また夜が無くなったってどういう事なんだ。
「じゃあ、あの日の夜? は勘違いだったとでも言うのか?」
「勘違いなんかじゃないよ あれは確かに夜だったよ」
「じゃあ何だってまた夜が無くなったんだよ?!俺はまた夜には意識が無くなってしまったし」
「ゴメン...私もさっぱり分からないんだよ」
「そうだよな...全く理由が分かんない...」
「灯夜、落ち込んでいてもしょうがないよ散歩にでもいかない?私...久しぶりに外に出てみたい」
「それもそうだな気分転換に散歩にでも行こうか」
「わーい!!私アイス食べるー」
「それは良いんだが美月?」
「何?灯夜」
「昼間から外に出ても美月は大丈夫なのか?」(透けてるし...)
「しっ下着がっ?!」
「たまから‼︎ 体だよっ!! body!!」
「あぁ体だったら大丈夫大丈夫 普通の人にはもう私見えないから」
「えっ...見えないのかよ!! それに『もう』ってどういう事なんだよもうって」
「もともと私も普通の人間だったんだよー いきなりお父さんが現れてお前は月だとか白の化身だとか言われて初めはびっくりしたけど今は理解したよ」
「めちゃくちゃな話だな...」
「灯夜もそのうち ちゃんと見えなくなるから安心して」
「安心できるかよ!!しかもどういう事なんだよ」
「じゃあ灯夜は神様が見えるの?」
「いや...見えないが...」
「そういう事だよ 私達「色」は神なんだよ でも神様は人々に伝える為に人に降臨しなくてはいけない 神はただそこに有る 何を成す訳でも無い そして降臨された人は いや、神懸りと言うべきなのか...まぁそれはいいとその人はそれから神として生きていく だから『色の化身』と言っているけど『色の化神』の方が正しいのかもね」
「何か色々と難しいな」
「まぁねー私も初めは理解に時間が必要だったよ でも大丈夫 灯夜も神として目覚めたら全てを理解できるよ それより早く行こっ!!」
「あぁそうだな」
俺達は散歩に出かけ良い位歩き疲れ公園のベンチで休憩する事にした。
『この光景、周りの人から見たら俺が独りでアイスを食べてる様にしか見えてないんだよな...何か俺って寂しい人間?』(トホホ)『いや人間じゃなくて神?色?何て呼べば良いんだよ...』
「ねぇ灯夜?」
「ん?何だ?アイスもっとくれってか?」
「アイスはもっと食べたいけど...じゃなくて!!さっきからこの公園誰も居ないんだよ」
「確かに...でも皆ご飯でも食いに行ったんじゃないか?」
「だってまだ15時42分だよ!!こんな中途半端な時間に皆が一斉にご飯食べるなんて考えにくいでしょ」
「まぁそれもそうだな...それにこの公園はいつ見ても人が居ない所を見た事が無いって位いつでも人が居るような公園なんだがな...」
「やっぱり何かおかしいよ...痛っ!!」
「どうした美月?!」
「急に何かが頭に当たった様な...でも何も見当たらない...」
「アイスの食い過ぎじゃないか?だって何もないぞ 痛っ!!」
「灯夜?!」
「やっぱり何処かに何か居るな」
「ようやくお気付きになられましたか」
「何処に居るんだ?!」「灯夜...何処にも居ないよ...」
「勿論貴方がたに私を補足することはかないませんよ」
「なんだと?!お前は誰だ」「灯夜、もしかして色戦士かも...」
「これは失敬、申し遅れました 私は天鈿女(アメノウズメ)と申します 貴方がたを反逆者として拘束する命を受けここに参った次第であります」
「反逆者だと?!俺達は何もしていないじゃないか!!」
「問答無用でございます ではご覚悟を...思兼神(オモイカネ)殿、月讀(ツクヨミ)殿」
『こいつ何を言っているんだ?!全く意味が分からない...オモイカネ?ツクヨミ?誰だ?誰の事を言っているんだこいつ?もしかして俺と美月の事...なのか?』