短編「運命」


「雑貨屋フォチューン……。こんな店あったかな」

男は営業の外回り途中、いつも通る道にも関わらず、初めて見るその店が気になり、店内へ入った。

中はエスニック調の飾り付けが施されており、なんとも男好みの店だった。

しばらく店内を見て回ると、あるものが目についた。

それは「想い傘」という物だった。

男がそれを眺めていると、店主がカウンターから声を掛けてきた。

「気になりますか? それはね、雨の日に持っているだけで、意中の異性と結ばれるって代物なんですよ」

値段は1500円と、普通の傘と比べても大差は無い。

男は「騙されたと思って……」と、傘を購入した。


そして次の雨の日。

帰ろうと会社を出ようとすると、傘も持たない女が、会社の出口でくすぶっていた。

その女性は、まさに男の意中の女性だった。

男は「まさか……この傘のお陰か?」と疑いながらも「駅まで同じ方向ですよね。傘ありますので、良かったら一緒にどうぞ」と誘った。

すると女は快諾して、二人で肩を並べて歩いた。

お互い共通点は多く、男は別れ際、次会う約束まで取り付けた。



雑貨屋の店主は、水晶で二人の行く末を確信すると、たちまち悪魔へと姿を変えた。

そして、夜の暗い空へ舞い上がった。

「人間になる条件が『五組の男女を幸せにする』なんて……しけてやがるぜ。
次は……っと。お、あの女、恋してやがるな。お相手は……あそこにいる男か。そしてその男は……フフフ、両想いとは好都合だぜ」


悪魔は占い師へと姿を変えると、地上へ降り、女に声を掛けた。

「お嬢さん、あんた、次の雨の日は、傘は持たない方がいい。いや、気にしなくてもいいんだが、何となく……占い師の勘だよ」




END

みそっかす
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みそっかす

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