「排他的な幸福」

「排他的な幸せ」


僕たちは、許されないことをしている。
けれど、それを止めようとする人間もいなかったし、
何が間違っているのが、わからなかった。

最初は、深夜のテレビの真似事から始まった。
キスから始まって、徐々にソレはエスカレートしていった。

そして成長していくにつれ、「この行為」は、普通と違うことに気付いた。

僕たちは、いけないことをしている。



シャワーを終えて、いつもより早めにベッドに入るのが、「ソレ」を始める合図。
灯りを消した暗い部屋で二人で布団に包まって、どちらからともなく、キスをする。

最初は触れるだけの軽いキスから。
角度を変えて、手を繋ぎながら、何度も何度も求める。
そして日向の瞳が情欲の色に染まったら、深いキスをする。

繋いだ手も、指も絡めて、ゆっくりと、ねっとりと、舌を絡める。
ざらざらとした生暖かい舌が絡まるのが、心地いい。
貪るように、互いを求め合う。

このあたりから、日向の呼吸が少し荒くなる。
そして期待をしているような、切ない瞳で見つめてくる。

彼方は、抱きしめるように日向の背中に手を回す。
それに応えるように、日向も彼方の背中に手を回す。
日向の体温は暖かくて、これから始まる行為を待ち望んでいるようだった。
ドクドクとうるさい心臓の音が、互いの興奮を伝える。

再度キスをしながら、服の上から日向のソコを触ってみる。
突然の刺激に、日向はビクッと体を震わせる。
ソコはもう既に、服の上からでもわかるくらいに、膨らんでた。

「日向、キスだけで勃っちゃったの?」

「そ…そんなこと…ない…。」

そう言って、日向は恥ずかしそうに、真っ赤になった顔を背ける。

日向は素直じゃない。
恥ずかしがり、シャイだ。
期待を含んだ情欲に染まった目で、こんなにも股間を膨らませているのに、
恥ずかしさが邪魔をして、それを認めようとしない。

彼方は、そんな素直じゃない日向が、心底愛おしく感じる。

彼方は日向の髪を撫で、赤く染まった頬に手を添えて、キスをする。
唇が離れると、伏し目がちで切なげな日向の視線に気付き、
服の上から、そっと、ゆっくりと日向のソコを擦る。

「ん…っ…ん…。」

日向の閉じた口から、切なげな吐息が漏れる。
いつも日向は、口元に手を添えて、声を抑えようとする。
その仕草がやけに可愛らしくて、彼方はつい意地悪をしてしまう。

日向を仰向けにして、組み敷く。
そして、日向のモノを焦らすように、服の上からゆっくりと擦りながら、
もう片方の手でTシャツを捲って、小さくて可愛らしい日向の乳首を舐める。

「んっ…あ…っは、あっ…」

彼方が舌が日向の乳首をなぞるたびに、
日向の手で押さえた口から、小さな声が漏れる。

日向は敏感だ。
焦らすように触れれば、物欲しそうに熱を持った瞳で、見つめてくる。
けれど、素直じゃない日向は、口では何も言わない。
切なそうに、少し涙が滲んだ瞳で訴えてくる。

服の上からの刺激だけじゃ物足りないのか、
日向は彼方の手に擦り付けるように、自ら腰を動かしていた。

「腰、動いてるよ。」

そう耳元で囁くと、日向は真っ赤になった顔を逸らして、
両手でその潤んだ瞳を隠す。

「…ん、動いてっ…ない…っん…。」

日向はそう洩らしながらも、腰が揺れる。

「素直じゃないなあ。」

そう言って彼方は日向のソコから手を離す。

「え…?」

先程まで与えられていた刺激がなくなり、
日向は残念そうな声を漏らして、戸惑った顔をした。

「ねえ、どうしてほしい?」

彼方は楽しそうに、日向の乳首を弄りながら、微笑む。
日向は、切なそうに眉を下げて、困ったような顔をした。

「…んっ…そんなの…っ…言えない…っ。」

吐息交じりに、揺れる瞳で彼方を見つめる。

「言ってほしいなあ。ちゃんと聞きたい。」

「無理…っ…言えない…んっ…ああっ…。」

意地悪な彼方は、そっと、日向のモノを指でなぞる。
その刺激に、日向の体が跳ねる。

「それなら、今日はやめる?」

組み敷いていた彼方が、意地悪な笑みを浮かべて離れようとすると、
日向は彼方の服の裾を掴んで、首を振る。

「…や、だ…っ。」

「じゃあ、ちゃんとどうしてほしいか、教えて?」

日向は瞳いっぱいに涙を溜めて、羞恥に頬を真っ赤に染め、
彼方を見つめて、消え入りそうなほど弱弱しい声を洩らした。

「…直接…触って、ほしい…っ。」

「はい、よくできました。」

そう言って、彼方は微笑んで日向に優しいキスをする。
そして、日向のスウェットのパンツに手を掛ける。
日向は腰に触れる彼方の手に、一瞬体を強張らせた。
上気した頬で期待をするような瞳に、ゾクゾクと加虐心が煽られた。

「怖い?」

日向は黙って首を振る。
スウェットのパンツと、下着を一気に下ろすと、
苦しそうなほどに固まって、先の方から汁を零す日向のモノが露わになった。

恥ずかしさからか、日向は目を逸らして、手で顔を隠す。
彼方はその日向のモノを握って、優しく上下に扱き始めた。

「んっ…ふ…っん…ん。」

零れそうになる声を隠すように、押さえた口から吐息が漏れる。
必死に声を我慢する日向を見て、彼方は扱きながら日向の乳首に舌を這わす。
焦らすようにゆっくりと、ねっとりと、その突起に触れたり、離れたり。

「んっ…あ…あっ…はっ…んっ…。」

突起に舌が触れるたび、甘い声が漏れる。
そして日向のモノを握った手を、少し早く手を動かす。
それでもなお、声を抑えようとする日向の乳首を少し強く吸う。

「あっ…やっ…ああっ…!」

体を震わせ、嬌声が漏れる。
握った日向のモノが、ドクドクと脈打つのが伝わる。
先走りの汁が、ドロドロと零れる。

「イキそう?」

「…っう…ん…。」

そう言って顔を隠したまま頷く日向を見て、彼方は手を離す。
そして、日向のモノをねっとりと唾液を絡ませ、口に含んだ。

「あっ…ん…。」

舌を絡ませながら、奥の方まで一気に咥える。
日向のソレは、熱く今にもはち切れそうなくらい膨れ上がっていた。

先の方を優しく舌を這わせる。
喉の奥も使って、根本まで日向のモノを優しく包み込む。

「あっ…もう…出るっ…から…っ。」

日向は与えられる快感と戦いながら、手を伸ばして彼方を離そうとする。

「いいよ。そのままイって。」

離そうとする日向の手を握って、モノを咥えたまま彼方は言う。
そして速度を上げて、奥の方まで丁寧に舐めまわす。
日向の体は与えられる快感で、ビクビクと震える。

「あっ…もう…だめっ…あっ…あっ…ああっ…!」

日向の体が跳ねる。
それと同時に、日向の熱い欲が口の中に吐き出される。
咥えたままのモノはビクビクと、震えていた。

「はあっ…はあっ…はあっ…。」

その欲を出し終え、日向は荒い息を吐きながら、脱力する。
彼方は口の中いっぱいに吐き出されたモノを、
ゆっくり味わうように舌で転がし、そして飲み込む。

―苦い。

熱くて苦い。
それでも、目の前の日向から出されたものだと思えば、
何の苦もなく飲み込める。

「美味しかったよ。」

「そんなのっ…飲むなよ…。」

まだ荒い息の日向は、恥ずかしそうに顔を背ける。
そんな日向の頬に手を添え、キスをする。

「…苦い。」

「日向の味だよ。」

嫌そうな顔をする日向に、彼方は微笑む。
そして、もう一度キスをする。

日向はキスが好きだ。
お互いを求め合うように、激しく舌を絡ませるのが好きだ。
何度も何度も角度を変えて、全てを繋ぐように絡ませる。

唇が離れて、先程欲を吐き出した日向のソコを見れば、
再び元気を取り戻したように、熱り勃っていた。

「まだ元気だね。」

そう言って、彼方は日向の秘孔に手を這わす。

「ちょっ…もう…。」

戸惑う日向に、彼方は意地悪そうに微笑む。

「僕はまだイってないもーん。」

横たわる日向を座らせ、抱きしめるように向き合う。
そして、左手で秘孔の周りを優しくなぞる。
期待をしているのか、感じているのか、日向の体がビクビクと震える。
目を閉じて体を強張らせる日向の口元に、右手を差し出す。

「舐めて?」

日向は一瞬、困ったように躊躇い、そっと彼方の指を口に含む。
ぴちゃぴちゃといやらしい水音を立てて、
丁寧に一本一本ねっとりと、彼方の指に舌を這わす。

左手は日向の秘孔に這わせたまま、焦らすように触れる。
秘孔を掠めるたび、日向の体が震えた。

じれったいのか、日向は腰を浮かせて、
ソコを、彼方の左手に合わせるように擦り付けてくる。
指を舐める日向は蕩けたような表情で、舌を絡ませていた。
熱い舌を必死に動かして、指を舐める様子が可愛らしくて、ずっと見ていたくなる。

「必死だね。早く指入れてほしいの?」

「違うっ…そんなんじゃ…ない…。」

指を咥えたまま、日向は蕩けた表情のまま答えた。
彼方は、そんな素直じゃない日向の口から、指を抜く。

「あっ…。」

そして、物足りなさそうな表情をした日向に、キスをした。
日向は彼方を抱きしめ、貪るように舌を絡ませる。
それに応えながら、彼方は唾液で濡れた右手で、日向の秘孔を弄る。
ゆっくりと周りをなぞって、中指を日向のソコに突き立てる。

「ん…っふ…。」

キスをしたまま、日向の口から吐息が漏れる。
これからすることに期待をするように、彼方を抱きしめる腕が強くなる。

中指だけで入り口の方ををゆっくり擦る。
時間を掛けて、優しく優しく焦らすように。

我慢できないのか、舌を絡める日向の腰が揺れる。
彼方は唇を離し、その白い腰を左手で押さえて言う。

「ダメだよ。ちゃんと慣らさなきゃ。」

日向は瞳に涙を溜め、紅潮した頬で、不満そうに顔を逸らす。
本当は早く中を触ってほしいのに、そういうことは口には出さない。
そう、日向は素直じゃないのだ。

キスをしながら日向の秘孔を弄り、ようやく指が2本入るようになった。
2本の指で日向のナカを擦れば、押し殺したような吐息が漏れた。

「ん…っ…ふっ…んんっ…。」

「気持ちいい?」

そう聞くと、日向は恥ずかしそうに彼方の肩に顔を埋める。
しかし、あまのじゃくな日向には、素直になるスイッチがある。

日向のナカの奥のイイトコロ。
そこを指で軽くなぞる。

「あっ!…んっ、はあっ…。」

日向の背中が跳ねる。
ここに触れると、日向は声を我慢できない。
体を強張らせて、半開きになった口からは嬌声が漏れる。

「ここ、好きだよね?」

「あっ!そんなことっ、な、いっ!ああっ!…っは!」

まだ素直じゃない日向のソコを、グリグリと少し強く撫でる。
そして、耳元で低く囁く。

「好きだよね?」

意地悪に、日向のイイトコロを撫で回す。

「あっ、んっ!ソコ、や、だっ!ん、んっ…好きっ、好きっ…だから、あっ!」

ようやく素直になった日向は、快楽に耐えるように、彼方に強く抱き付く。
嬌声を洩らし、閉じることもままならない口からは、よだれが零れていた。
必死に縋りつく日向が愛おしくて、さらにナカを刺激する。

「日向はココを触ると、素直になっちゃうんだよねえ?」

「う、…んっ!ソコ…っ…あ…っ、きもち、い…っ!」

耳元で囁く彼方の低い声に、ゾクゾクと体が震える。
彼方の指で、絶え間なく与え続けられる快楽に、
日向は何も考えられないほどに、頭が真っ白になってしまいそうだった。

「彼方っ…かな、…った…!っ…やだ、っ…やめ…っ!」

迫る絶頂に、日向は瞳を潤ませ、口をパクパクさせて、眉を下げ、
快楽と苦悶が混ざったような表情をする。

「どうして?イキそうなんでしょ?」

快楽に震える日向のナカを、激しく掻き回す。

「やだ…っ!…彼方っ、が…いい、っ…ん、あっ…!指…やだっ…やだ…っ!
 …彼方の、で…っ、イキた…いっ、…んっ…あっああっ…んっ!」

日向は息を詰まらせながら、絶頂を耐えるように切ない顔をして、
頬を涙で濡らし、口からは涎を零して、上目づかいで彼方を見上げる。

「もう…日向いやらしい。」

その言葉に彼方は、日向のナカから指を抜いて、日向を仰向けに寝かせる。
月明かりに照らされる痣だらけの日向の白い体が、とてもなめまかしく見えた。
欲しがるようにヒクついた秘孔が、彼方を誘う。

「早く…。」

日向は荒い息のまま、恥ずかしげもなく足を広げる。
無意識の煽りに、彼方も理性が飛んでしまいそうだった。

彼方は、自分のスウェットと下着を脱ぐ。
そして、日向のぐちゃぐちゃになった秘孔に、自分のモノを添える。
固くなった彼方のモノの感触に、日向は息を呑んだ。

日向は少し乱暴に抱かれるのも、好きだ。
彼方はその淫らな秘孔に自分のモノを当てて、一気に奥まで擦り上げる。

「あ、んっ…ああっ…っは…あ、ああ…っ!」

その刺激で、日向の体は背中が反るように跳ねた。
それと同時に、ナカがきゅっと締まる。
日向のソコは、ビクビクと痙攣しながら熱を吐き出した。

「…入れただけで、イっちゃたの?」

日向は体を震わせ、肩で荒い息をして、恍惚とした表情をして頷く。
自ら吐き出したモノで、日向の腹がや胸が白濁の液で汚れていた。
それがひどく扇情的で、彼方の劣情を煽り立てた。

彼方は、日向の胸に零れたモノを、一口舐める。
苦い味が口の中に広がる。

「まだ、イけるよね?」

そう言って、返事も待たずに腰を動かす。

「あっ!…っや、だめ…っ!あ、ああっ…ん、ふっ…あ…!」

絶頂を迎えたばかりの日向は、力なく揺さぶられる。
抵抗もできずに嬌声だけを洩らして、快楽の波に溺れる。

彼方は日向の奥のイイトコロを何度も突きながら、
痣だらけの日向の胸に、赤く淫らな自分の印を残していく。

「ん…っ、彼方…っ!あ、ああっ…!…んっ、キス…っ!」

そう言いながら、日向は力ない手で彼方の腕を掴む。
物欲しそうに、口を開けて赤い舌を見せる日向と、舌を絡める。
腰を振って日向の深いところを突きながら、ねっとりと絡ませる。

「ん…ふっ…ん、んん…っは…ん…。」

日向は息も十分にできないほど、彼方の舌を求める。
息苦しそうな嬌声が、情欲をそそる。
まるで上も下も犯しているように、深く、深く繋がる。

いつもはクールで口数が少ない日向が、自分の前ではこんなにも可愛らしく喘ぐ。
何度も何度も求めるように舌を絡ませ、涙が溢れる瞳を揺らして、
涎を垂らしながら、快楽に流されるまま悲鳴に似た嬌声を上げる。

誰も知らない、自分だけの日向の顔。
彼方はそんな日向を見て、優越感に浸る。

「日向…好きって言って…。」

彼方は荒い息を押さえて、日向のナカを深く深く抉る。

「…ん、…っあ!かな…た…す、きっ…あっ、ふっ、ん…好きっ…!」

日向は快楽に飲まれながら、我を忘れたように、何度も何度も、その言葉を口にする。
頭が真っ白になって、ただ彼方を抱きしめながら、快感に酔いしれる。

「…あっ、ん…好き…好きっ…!っあ…彼方…好きっ…!」

「日向…僕も好きだよ…。」

彼方はそう言って、日向の一番奥を突く。

「っや…奥…!…イク、から…っ、ダメ…っ!」

「ん…っ、僕もイキそう…っ!」

腰を振るスピードが速くなる。
自分を刻み込むように、深く深く日向のナカを突く。
それに合わせて、日向のナカはギュウギュウと彼方のモノを締め付ける。
悲鳴に似た嬌声は、恥じらいもなしに大きくなる。

「…あっ…!ダメ…っ!イ、ク…っ!っあ、あ、ああっ!」

その声に彼方は唇で、日向の口を塞ぐ。
そして舌を絡ませて、二人同時に絶頂を迎えた。

日向のナカに、自分の欲望をたっぷりと注ぎ込む。
ドクドクと彼方のモノが日向のナカで脈打つたび、日向の体が震えた。
涙と涎と汗と精液でぐちゃぐちゃになった日向は、
彼方を強く抱きしめながら、ビクビクと震えて射精した。

「日向…好きだよ。」

「ん…。」



二人だけで向かい合って、世界に背中を向ける。

お互いの想いを確かめるように、お互いの中に欲を吐き出し続ける。

僕たちは、いけないことをしている。


麻丸。
この作品の作者

麻丸。

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