失恋3時間
君とのはじめてのキスは涙の味がした。
君が泣いていたから、君の大切な王子様が新しいお姫様を手に入れていたから。
失恋してから3時間後、君は僕の腕の中で泣いていた。
放課後の図書館、グラウンドで運動部が練習する声が聞こえるくらい静かに泣く君。
こんなに小さかったけ…
こんなに髪の毛長かったけ…
こんなに華奢な身体だったけ…
いろんな疑問が頭に浮かぶ中、ふぅーとため息をついて君の頭の上に顎を乗せる。
「…なんであんな悪い男と付き合ってたの」
「……だって」
僕の制服をギュッと摘んでいた手を緩めて、君と目が合う。
「ん?だって?」
過去の事を思い出したのか君の目からはまたポロポロと涙が零れおちる。
僕は指で涙を拭う。
そんな時だった、君と唇が触れ合ったのは。
「…忘れさせて」
君は小さな声で呟いた。
失恋して3時間で他の男と身体を重ねるなんて。
「悪い女」
そう言ってさっきよりも長い口付けを交わす。
同意した僕もきっと悪い男。
でも思ったんだ、君を幸せに出来る王子様は僕しかいない。
やっと手に入った、僕のお姫様。