あなたの瞳を見つめられない日々のかわりに
私は太陽を見て
こうしている
むなしいだろうか
いいや
私はこうしてただ息をして
ときおり瞬きなどする
あなたはそよぎ私を通り抜け
空虚を玉虫色に埋めてゆく
理想というものは人間の考えうる概念を超えない
しかしどうだ あなたという人は
人の持つ密度を容易に超えて
私の精神に浸透していく
言葉というものは一つの器にすぎないのだけれど
点描のようにして
あるいは思いもよらぬほどの衝撃を
あなたに与えうるかもしれぬのだ
百年前の恋文のように
千年前の絵画のように
紀元前の旋律 あるいは
有史以前の接吻
出会いによって過去は築かれ
涙の海にあなたは浮かぶ
ああ君よ
いかようにして私の精神がその深淵に
行き着くことができるであろうか
たばこの煙が絶望を示して
青空には虹がかかるのであろう
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