私は今、彼氏の太ももを、爪楊枝で刺し続けている。
しかし、これには理由がある。
そうでなければ、比較的に心の広い私が、彼氏の太ももを爪楊枝で、刺すなんて、非道な事をする訳がない。
むしろ脳天や眉間といった部分を刺さず、頭を踏みつけるような彼女で無いことに、感謝されることはあっても、非道な彼女であるという非難を受けることは無い。
私に爪楊枝で太ももを刺されて、痛みに耐えながら、言い訳をしている彼氏が、何をしたか。
浮気である。
信じられないだろうが、私の彼氏は、人の良さそうな顔をしながら、平然とまるでやましい事が、ないかのように、振舞っていたのだ。
浮気をしていたくせにだ。
嘆かわしいにもほどがあると言わざるをえない。
浮気を認めて、反省するという事をするのであれば、許して水に流すと言うのにも関わらず、私の彼氏は、言い訳をいまだに繰り返している。
あれは妹だと。
私の彼氏は、嘘がどうにも下手らしい。
浮気相手が妹だと、いつの時代の言い訳なんだろうか、私の母親の青春時代の言い訳レベルである。
確かに、私が昔通っていた中学の制服をきていたが、それだけで私を騙そうとしているのだから、タチが悪い。
腕を組み、二人とも実に楽しそうに歩いていたではないか。
仲睦まじく、彼氏の家に入って行ったではないか、これは浮気と言わずになんて言うのか。
彼氏は、だから妹で家族だとなおも言うし、信じて欲しいと繰り返す。
しょうがない、私も信じてあげよう、あれが妹で浮気ではないと、信じてあげよう。
信じたところで、さらに疑惑が浮上する。
高校生の兄と妹が、腕を組んで、街中を歩くだろうか。
妹とそういう事を日常的にやっているとしたら、この私の彼氏は、重度のシスコンではないか。
そして、妹もブラコンであり、結局最初の結論に帰結した。
やっぱりあれは浮気である。
こうして私は、今も彼氏の太ももに、爪楊枝を刺している。
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