どんなに能力がある人だって適当に物事に取り組めばミスをする。
それは、まさに当たり前の事であり、だからこそ物事に取り組む時には、油断なくキチンと取り組む姿勢が大事であり、その心構えは衣服へと現れる。
衣服の乱れは心の乱れともいうのの、目の前の男性ときたら、一生不倫と記載されたユニークTシャツを着て、サングラスを今時3つも頭の飾りとして着用しているのにも関わらず、恥ずかしげもなく、我が家へと訪問している時点で、心の乱れが分かると言うものだ。
基本的に夜は遊んで昼間は寝て暮らすことをモットーにしている異世界の神様と始めて出会った合コンの自己紹介で言っていたし、その時も似たようなユニークTシャツを来ていたので、乱れなどなく、平常運転なのかもしれない。
まぁその時周りの女の子が興味なさそうに、唐揚げを注文していたのは良い思い出である。
溢れでる神様のオーラは、合コンからあぶれてしまったのだが、目当てになる女の子もいないので、適当に酒を飲んで、意気投合とまではいかなくても、それなりにズルズルっと2軒、3軒と梯子酒をして、内容も思い出せないぐらいの馬鹿話と、連絡先交換してその後もちょいちょい合コンをする間柄の異世界の神様ヨシさんが、教えてもいない我が家に、菓子折りをもってやって来たのは驚いた。
「いや悪いね急に来たんで驚いたでしょ」
「確かに驚いたけど、合コン誘っても最近音沙汰なしの方が驚いたけど、気になる子でも出来た?」
とりあえず、こんな恥ずかしい格好で玄関前で立たれても、アレなので部屋へと招きいれ、お茶がないので、1本100円もしないスタミナドリンク剤を出しながら、話を聞くことにした。
「気になる子が女の子ならまだ良かったよ」
「神様って両方いけるんだっけ」
「いや、恋愛方面じゃなくて、仕事でのトラブルでさ」
出されたスタミナドリンク剤を手慣れた様子で開けて、迷いなく飲み干すといきなり土下座をしてきた。
「お願いします、あの魔眼の使い方を教えてください」
「魔眼?」
魔眼というと、中高生から極々一部の中高年に人気が集まっている魔眼の事だろうか。
「ほら、飲みの席で僕たちの考えた魔眼あったじゃない」
「あー はいはい」
コメカミを指で揉みほぐしながら、何と無く思い出す。
酔いが周りながら、確か半年ぐらい前もう一軒行こうと言う話になって、ヨシさんが仕事があるからとボヤいた時に、飲んで考えればいいって、考えるの付き合うよとか調子のよい事を言ったな、確か。
「その魔眼の力与えちゃった男がね、使い方教えろって毎日毎日半年以上、大声で祈って聞いてくるんで五月蝿いんだよ」
「どんな魔眼を?」
「あーカロリーが見えるカロリー眼」
本当に酔っ払いというのは、碌な事を考えずノリだけで、生きているというか、瞬間瞬間に生きているんだと実感した。
「カロリーなんか見えた所で、魔物も倒せないし、役に立つ事無いだろうけど、だからって神様にさ聞く?」
「それ言うならヨシさん、しがない一般人に聞かないでよ」
しかも、土下座して聞いてくるのも一種のパワーハラスメントに近いんだから
「考えた張本人なら、なんか良い案ないの?」
「カロリー計算で健康管理でもすれば」
「いやーコッチの世界カロリーとかそんな考え広まって無いんだよねぇ、あっ縦ロールの王女様が流行ったりしているよ」
「いやーそこらへんどうでもいいです」
なおのことカロリー眼が、役に立たない。
本当に刹那的に生きているよな。
「頼むよぉ 今度美の女神とか紹介するからさ、もちろん代金支払い任せてよ」
「あっ、それならさ太めなお嬢様に雇われてカロリー眼でダイエットを手伝う、そうして美しくなったお嬢様から感謝の意をしめされて、お嬢様と結婚することになる場合もありますとか言えばいいんじゃない」
「おお 一気に役に立ちそうだ」
「それだけじゃない、カロリー眼の真の力はここからだ」
「まさか、カロリーを表示するしか能のないカロリー眼が」
「カロリー眼、カロリーを表示するなら、何時もと違うことにも気がつける、そうお嬢様や王侯貴族を脅かす存在、毒、しかし無味無臭の毒と言えどカロリー眼は毒のカロリー見逃しません、毒味役ならぬカロリー役が、誕生するかもしれない」
ヨシさんは、大袈裟にハグをして、慌てて玄関から合コンの約束をしながら、飛び出して行った。
合コンの約束を楽しみにしながら、ヨシさんを見送った後に気づいたが、ヨシさんの世界に無味無臭の毒の他に無味無臭ノンカロリーの毒があれば、カロリー眼役に立たないかもしれないが、まぁいいだろう。
酔っ払いの戯言は真に受けず、話半分で、カロリー眼を授かった人は是非とも心眼を極めてほしいものだ。
ミラクリエ トップ作品閲覧・電子出版・販売・会員メニュー