子供には刺激が
 新大阪遥は料理上手で優しく穏やかな性格だ、そして子供が大好きでいつも小さな子供達の面倒を見ている。
 そうした性格だから友人達にも人気がある、しかし。
 その友人達は遥にだ、時々困った顔で注意することがあった。
「ちょっと、それは」
「あまりよくないわよ」
「幾ら一緒にいるのは子供達でも」
「その格好はね」
「えっ、プールだから」
 今遥はプールの更衣室にいる、そこで水着に着替えたのだが。
 遙はその見事な、実に女性的な肢体を黒ビキニで包んでいる。ビキニなので露出はかなりのものだ。
 それでだ、友人達は遥にこう言うのだ。
「せめて腰にパレオ巻いてね」
「あと上からパーカー着た方がいいから」
「ちょっとビキニのままでプールに出たら」
「危ないわい」
「一緒にいるのはまだ幼稚園とか低学年の子達だから」
 小学生のというのだ。
「別にね」
「いいっていうの?」
「黒ビキニでも」
「ビキニの中でもきわどいデザインなのに」
「というか何か女の私達が見ても」
 かなり刺激的だった、遙のそのスタイルと合わせてだ。
「パレオないなら腰にタオル巻いて」
「上着着て」
「そうしてて」
「さもないと大変よ」
「本当にね」
 彼女達はプールに来ている男達が遥に刺激されないかと心配していたのだ、最悪人気のないところに天然なところのある遙が連れ込まれて、等も考えた。
 しかしだ、それでもだった。
 遙は大丈夫と笑ってプールに出て子供達とにこやかに遊びはじめた、その遙を見てプールに来ていた男達は彼女の友人達の危惧通りの反応を示した。
「凄いな」
「ああ、あの娘な」
「奇麗だしあのスタイルな」
「グラドルか?」
「ちょっと以上にそそるな」
「胸もお尻も凄いぜ」
「ああした娘と付き合えたらな」
 視線が遥に集中していた、それでだ。
 あえて地味な水着を着ていた友人達が何気なく遙の周りに来て遊ぶふりをして男達の視線をカットした、そしてだった。
 遙は男達に強く注目されなかくて済んだ、しかし。
 彼女のその無防備さにだ、友人達は思うのだった。
「遙ちゃんっていい娘なのに」
「天然よね」
「それで無防備で」
「男の視線に気付かないのよね」
「というか意識してなくて」
「危ないのよね」
「確かにいつも子供達と一緒だから」
 それでというのだ。
「相手に、って心配はないけれど」
「あの顔とスタイルで無防備だから」
「心配になるわ」
「本当にね」
 こう話すのだった、だが。
 遙は相変わらず無防備だった、それで子供達と一緒に旅行に行ってもだ。
 お酒が入った状態で浴衣姿で一緒にトランプをしたりするが。
 はだけた胸や足元を見てだ、また友人達は仰天した。
「うわ、ちょっと」
「下着見えてるわよ」
 上下共白のそれがだ。
「子供達が周りにいるけれど」
「男は周りにいないけれど」
 男の子達は多いがだ。
「ちょっとあれは」
「若し男が近くにいたらどうするのよ」
「早く服なおさせないと」
「とんでもないわよ」
 こう言って慌てて遥に服をなおさせる、しかし夜寝ている時にだ。
 遙は男の子も女の子も入れて一緒に大部屋で寝る。それで同室で寝ようとする友人達はまた言った。
「あの、男の子も一緒でしょ?」
「一緒のお部屋で寝るの?」
「私達と一緒に寝ましょう」
「場所もお布団もあるから」
「何も心配はいらないわ」
 遙の返事はここでもこうだった。
「だって小さな子達だから。それにね」
「それに?」
「それにって?」
「私だって用心してるから」
 自分ではこう思っているのだ。
「だから安心して、誰かが子供達と一緒にいないと」
「そう言うけれど」
「大丈夫じゃないでしょ」
「遙ちゃん刺激強過ぎるのよ」
「どうしてもね」
「そうなの?別にと思うけれど」
 自覚がない、それが遥の厄介なところだ。
「私としては」
「ううん、まあね」
「相手が子供だからね」
「子供だから問題はないけれど」
「何もされないけれど」
「あまりね」
 刺激的な恰好はというのだ、こう言うばかりの友人達だった。そして遙は実際に子供達と一緒に寝たが。
 子供達が寝ているかどうかチェックしに来た友人達は寝ている遙も見たがその彼女の寝姿は。
 かなり寝乱れていた、浴衣姿で布団にいてだ。
 あられもない姿だった、下着も脚も胸元も見ていてだ。
 友人達は同性とはいえだ、思わずゴクリと喉を鳴らして言った。
「ちょっと、ね」
「子供達の中じゃなかったら」
「それこそ小学生でも高学年だと」
「危なかったわね」
「女の子の中にいても」
「これはね」
 非常にというのだ。
「襲われるわよ」
「ここにいる子は幼稚園か低学年の子ばかりだからいいけれど」
「これはね」
「危ないわよ」
 こう言うのだった、それでだった。
 遙は小学校の教員免許と保育園の保母の資格を得た時にだ、友人達は彼女にすぐに注意した。
「いい?保育園に行くのよ」
「あといつもズボンでいるのよ」
 露出の多い服は避けろというのだ。
「あと水着も半ズボンとかよ」
「ジャージがいいわ」
「そういった服が動きやすいし」
 露出の話をしても遙がわからないのでこう言った。
「しかも汚れてもいいし」
「いいのよ」
「水着だとビキニやワンピースは露出が多い分危ないから」
「だから半ズボンタイプがいいの」
「怪我したらね」
「よくないし」
 真実で本当に言いたいことを隠して話していく。
「だから水着も気をつけて」
「そうしたらいいから」
「そして出来たら保育園か幼稚園」
「そこに行くのよ」
 小学校は高学年と関わることもある、同僚の教師や保護者も問題だった。
「そっちの方が遥ちゃん向きだから」
「保育園か幼稚園の方がいいわ」
「そっちに行ってね」
「出来るだけね」
「それじゃあ」
 遙は気付かないまま頷いた、そしてだった。
 遙は実際に幼稚園の先生となり小さな子供達を教える様になった、保護者からは優しくて面倒見がよくてそこそこ奇麗な先生と評判だった。
 だが友人達はその話を聞いて思った。
「遙ちゃんの本当の姿知らないから」
「どれだけそそるボディしてるのか」
「しかも無防備過ぎるから」
「やばいなんてものじゃないのよ」
 その色気がというのだ。
「若しちょっと成長した男の子か男の人がいたら」
「普通に我慢出来ないから」
「刺激が強過ぎるのよ」
「ちょっとした子供相手でもね」 
 それが遥の実態だというのだ。
「それがわからないとよ」
「そこそこでしかないわね」
「まあそう思ってくれたらいいわ」
「それでね」 
 友人達は遙のその評判を聞いてほっとした、無防備な色香程刺激的なものはない。それは少し成長した子供に対してもそうであることも知っているからこそだ。彼女達は胸を撫で下ろしたのだ。


子供には刺激が   完


               2017・6・27

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