水着が似合う色
 瓜破友美はアジア系の顔立ちだが肌の色は褐色で髪の毛は金髪だ、目の色は黒だがかなり日本人離れしている外見だ。
 それもその筈でだ、彼女の母親はアメリカ人なのだ。
「お母さんがメキシコ系アメリカ人でね」
「それでよね」
「お母さんのお肌と髪の毛の色よね」
「それ受け継いでね」
「友美ちゃんもよね」
「そうなの、だからなのよ」 
 自分で笑ってこのことを話した。
「このお肌と髪の毛の色なのよ」
「日焼けしなくてもなのね」
「それで染めなくても」
「普通にそのお肌と髪の毛の色ね」
「最初から」
「元々こうしたお肌と髪の毛の色好きだったけれど」
 友美自身にしてもというのだ。
「それでもね」
「最初からだとね」
「もう日焼けとかしなくてもいいから」
「いいわよね」
「それは」
「そうなのよ」
 笑っていつもこうした話題には応えていた、とにかくだ。
 友美はハーフ故の独特の肌と髪の毛の色で自分でもそれが好きだった。服装もそちらに合わせてラフな感じのものが多かった。
 その友美にだ、友人達は誘いをかけた。その誘いはというと。
「ねえ、今度プール行かない?」
「最近暑いしね」
「そこで泳いで涼しく遊ばない?」
「そうしない?」
「あっ、いいわね」 
 友美は友人達の誘いに笑顔で応えた。
「それじゃあね」
「ええ、今度の金曜行きましょう」
「幸い夏休みだしね」
「朝から行って夕方までね」
「プールで遊びましょう」
「わかったわ、じゃあ水着は」
 友美はにこにことしてそちらの話もした、当然ながらプールといえば水着が絶対に必要だ。
「可愛いの選んでくるわね」
「それ私もよ」
「私だってそうよ」
「別に彼氏と一緒じゃないけれど」
「これはね」
 着ていく水着のことはというのだ。
「やっぱりね」
「勝負よ」
「見られるから」
「周りから」
「そうそう、水着が駄目だと」
 友美もこのことは真面目な顔で言う。
「どうしてもね」
「負けたっていうかね」
「残念な感じするのよね」
「可愛い水着、いい水着じゃないと」
「どうしてもね」
「だから私もね」
 友美にしてもというのだ。
「可愛い水着選ぶわね」
「おたがいにそうしましょう」
「このことは実際頑張らないとね」
「さもないと女の子として駄目だから」
「そんなものだからね」
 水着が駄目だと負けかなと思っている、そうした感じになるからというのだ。友美も友人達もいい水着を着ようと決意して実際にだった。
 金曜日家で厳選した、なかった者は店で買ったその水着を持って来た。ここで友人達は友美の水着とそれを見た彼女を見てだった。
 思わず唸ってだ、それぞれ言った。
「いや、そうきた?」
「その水着にしたのね」
「そうなのね」
「似合う?」 
 見れば白いビキニだ、肩紐がありフリル等は着いていないオーソドックスかつシンプルなビキニだ。
 そのビキニを着た友美にだ、友人達は言ったのだ。
「似合うわよ」
「茶色のお肌に特にね」
「日焼けしたお肌に白って感じで」
「金髪にもね」
 友人達は友美に実際にと話した。
「いい感じよ」
「シンプルな感じだけれど確かにね」
「似合ってるわよ」
「友美ちゃんスタイルもいいしね」
 見ればやや小柄だがウエストは締っていて胸も大きい、そして尻の形がとにかくよかった。
 その友美のスタイルも見てだ、友人達は言ったのだ。
「いけてるじゃないよ」
「ちょっと女同士でもぐっとくるわ」
「よくその水着できたわね」
「白ビキニで」
「そう言ってくれたら嬉しいわ」
 友美は友人達のコメントににこりとなって返した。かく言う友人達もそれぞれに似合った水着を着ている。
「私もね」
「うん、じゃあね」
「皆で遊びましょう」
「泳いで色々回って」
「そうしてね」
 友人達も応える、そしてだった。 
 皆でプールに出て泳いで色々な場所で遊んだ、そうしてまずは彼女達だけで遊んでいたが。
 やがてだ、友美を見てだった。
 プールで遊んでいた男達がだ、こんなことを言い出した。
「おい、あの娘よくないか?」
「あの茶色の肌で白ビキニの娘だよな」
「金髪の」
「あの娘いいな」
「ぐっとくるな」
「エロいな」 
 こう言ってだ、それでだった。
 友人達と遊んでいる友美のところに行ってだ、そのうえで声をかけた。
「ねえ、彼氏とかいるの?」
「今暇?」
「よかったら一緒遊ばない?」
「そうしない?」 
 こう声をかける、だが。
 その彼等にだ、友美の友人達はこう言った。
「私達が一緒だから」
「彼氏はいないけれどね」
「それでもいい?」
「一緒に遊ぶ?」
「どうする?」
「まあこの娘達も可愛いしな」
「そうするか」
 こう言ってだ、彼等はだった。
 友美目当てだが他の面々とも遊んだ、その間。
 女の子の方はこちらはこちらでだ、密かにこんなことを話していた。
 トイレに行くと言ってだ、自分達だけでそのトイレの中で話した。
「気をつけないとね」
「下心見え見えだしね」
「友美ちゃんの水着姿見てだから」
「それでだからね」
「私なのね」
 その友美もいて言う。
「お目当ては」
「誰がどう見てもそうじゃない」
「友美ちゃんのスタイルとお肌の色見てよ」
「もう近寄ってきたのよ」
「そしてあわよくば」
 友美の小柄だが女でもそそられるスタイル、水着姿なので余計に目立っているそれを見て言うのだった。
「友美ちゃんと、よ」
「宜しくなりたいってね」
「そう考えてるのよ」
「絶対にね」
「だからよ」
 それでというのだ。
「こっちとしてはよ」
「下心に乗らないで」
「むしろその下心を利用してね」
「楽しくやりましょう」
「相手が暴走しない様にして」
「そしてね」
「そうしてくのね」
 友美は何処かおっとりとして応えた。
「ここは」
「ええ、そうよ」
「そうしていくからね」
「食べもの奢ってもらって」
「それも高いものをね」
 こう話してだ、皆で言い寄ってきた彼等と一緒に遊んだ。しかしその間警戒は解かなかった。
 そしてだ、その後でだった。
 プールを出てだ、彼女達はこんなことを言った。
「何か食べたくない?」
「そうよね」
「美味しいものね」
「何かね」
「えっ、それじゃあ」
 男のうちの一人が彼女達の言葉を聞いて言った。
「これからハンバーガーでも」
「バイキングよくない?」
「そうよね」
 ハンバーガー、マクトナルド等のそれは聞こえないふりをして話した。
「中華料理とかね」
「串カツとかね」
「焼肉もよくない?」
「そうよね」
 こう彼女達の間で話してだ。
 そしてだ、男組にこう言った。
「バイキング行かない?」
「近くにいいお店知ってるの」
「焼肉とかお菓子がある」
「結構美味しいのよ」
「えっ、バイキングって」
「あそこのお店は」
 男組もそこがどの店か知っていてだ、困った顔になって話した。
「一人千五百円か?」
「今の時間だとな」
「結構な」
「金がな」
 学生で一食それだけはというのだ。
「ちょっとな」
「困るよな」
「そうだよな」
「マクド位ならいいけれど」
「精々吉野家か?」
「そこ位だよな」
 彼等はこう言う、だが。
 女組は笑い合ってだ、強引に決めた。
「よし、焼き肉ね」
「決まりね」
「千五百円ね」
「有り難うね」
 自分達が出さないとも言ってだ、そうしてだった。
 彼等を強引にその店に連れて行って焼肉とスイーツを腹一杯食べた、この千五百円がかなりの出費でだ。
 男組はそれ以上何も出来なかった、それでだった。
 彼等は困った顔でだ、友美達に言った。
「あの、じゃあね」
「これからだけれど」
「俺達とね」
「何処か行こうって言いたいけれど」
 そう思うのはやまやまだがだった。
「もうお金ないから」
「それじゃあね」
「メアド教えてくれない?」
「また会おうよ」
「それ位はね」
 奢ってもらったしとだ、女組も応えてだ。メドは交換したが。
 この日はこれで別れた、そしてだった。
 友美達は彼等と何度か会ったが常にガードは固めた、その例としてもうプールで会うことはしなかった。
 このことについてだ、友美は彼女達に自分達だけで図書館で夏休みをしている合間に尋ねた。
「あの、もうプールとかでは」
「ああ、駄目よ」
「そうした開放的な場所では合わない」
「そうしないとね」
「危ないわよ」
 友人達は友美にこう返した。
「だからね」
「それはなしよ」
「特に友美ちゃんはね」
「よくないから」
「皆私の水着姿を見て声をかけてきたから?」
 だからとだ、友美は友人達にまた尋ねた。夏休みの図書館は静かで涼しく外の蝉の声も暑さも別の世界のことだ。
「だから?」
「そう、何といってもよ」
「友美ちゃんのそのスタイルもあるし」
「お肌の色もあるから」
 褐色のいい日焼け具合に見えるその肌の色もというのだ。
「もう水着に似合い過ぎなのよ」
「夏のラフな服装にもだけれど」
 つまり今の服装、半ズボン姿にも似合っている。
「水着は特になのよ」
「友美ちゃんのお肌の色は合っていて」
「危ないから」
「本当に暴走されないから」
「そうなのね、というか私のお肌って」
 自分で自分の手を見てだ、友美はまた言った。
「そんなにいいのかしら」
「夏の服装、特に水着だと余計にね」
「スタイルと同じだけよ」
「女の私達でもそそられるものがあるから」
「男なら余計よ」
「だからね」
 それでというのだ。
「用心はしてね」
「友美ちゃん自身もね」
「これからも」
「わかったわ、しかしね」
 ここでだ、また言った友美だった。
「あの時は焼肉奢ってもらってそれからも結構だから」
「悪いって?」
「そう言うの?」
「そう思うけれど」
 こう言うのだった。
「いいのかしら」
「相手は下心あるから」
「まあいいんじゃない?」
「これ位はね」
「もっとも下心に応えるつもりはないけれどね」
「こっちとしてはね」
「じゃあ下心がなくなったら?」
 友美は友人達に彼等がそうなったケースについても尋ねた。
「どうするの?」
「まあその時はね」
「考えてもいいかもね」
「男の子って下心がいつもあるけれど」
「ましになればね」
 今の全開状態からというのだ。
「そうなったらね」
「いいわよ」
「その時は」
「その時が来ればいいわね」
「そうね、やっぱり奢ってもらってばかりじゃ悪いし」
 友美は微笑んで言った。
「落ち着いてたらね」
「その時はね」
「それぞれこれはっていう子と付き合いましょう」
 女の子達は笑顔で話した、そしてだった。
 秋にはお互いのグループでいい相手をそれぞれ見付けて付き合う様になった、それは友美も同じでだ。その彼と親しく付き合う様になった。彼女にとって白ビキニは幸せな出会いの水着にもなった。肌の色に似あっているだけでなく。


水着が似合う色   完


                 2017・7・27

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