お金はいつも
あぶこ曜子にはいつも困っていることがあった、それでいつも友人達にこんなことを言っていた。
「アルバイトをしてもしてもね」
「足りないっていうのね」
「お金が」
「そうなの、お小遣いを貰って」
そしてとだ、看護科のクラスで友人達にぼやくのだった。胸がとにかく大きくミニスカートの制服姿もやけに年齢よりも上の色気がある。
「それでね」
「アルバイトをしてね」
「お金があっても」
「すぐになくなる」
「そう言うのね」
「あるとね」
お金、それがというのだ。
「何かいつもなのよ」
「すぐに使ってね」
「それでなくなってるわね」
「そのせいでいつも金欠病」
「そうなってるわね」
「私お金があると」
またこう言う曜子だった、とにかく今はぼやくことしきりだった。
「使っちゃうのよ」
「欲しいもの買ってね」
「それでカラオケ行って飲んで食べて」
「そうしてね」
「あっという間になくなるのよね」
「お金ってすぐになくなるわね」
世の中のこの摂理に嘆くのだった。
「本当に」
「というか曜子ちゃん使い過ぎよ」
「浪費家過ぎるでしょ」
「もうちょっと節約したら?」
「貯金したら?」
「それが子供の頃からね」
自分の席でへ垂れ込む様になって言った曜子だった。
「お金が入ればね」
「すぐに使うのね」
「それこそ入ったらすぐに」
「昔からそうした性分なのね」
「浪費家なのね」
「言っておくけれど悪いことには使ってないから」
そこはしっかりと言った。
「間違ってもね」
「ええ、悪い遊びとかしないからね曜子ちゃん」
「そうしたことはね」
「ゲームセンターには行くけれど」
「というかゲームセンターのUFOキャッチャーもするし」
「そこでもお金使うし」
「すぐにのめり込んで」
「それで気付けば」
いつもだ、お金が入ってすぐに。
「すっからかんになるのよ」
「それで今みたいにぼやく」
「それの繰り返しね」
「先月もそうだったし」
「その前の月もね」
「お金持ちになったら」
曜子は胸も語った。
「いいのに」
「いや、曜子ちゃんあればあるだけ使うから」
「どっちにしろ一緒でしょ」
「いつもそうじゃない」
「夏休み明けでお金あってもね」
夏休みを利用してアルバイトに励んだがだ。
「やっぱり使ったじゃない」
「あっという間に」
「そう考えたらよ」
「お金持ちになっても一緒じゃない?」
「宵越しのお金は何とやらって感じで」
「大阪なのに江戸っ子みたいじゃない」
「生まれも育ちも大阪だから」
そこは強く言った曜子だった。
「私も。ただね」
「それでもね」
「こうしてお金に困るのは嫌よね」
「どうしても」
「次のお小遣いとバイト代出るまで辛いわ」
最後にこうぼやいた曜子だった、とかく毎月こう言う彼女だった、それはまたお金が入っても同じだった。
やはりすぐに使う、そしてだった。
すっからかんになってだ、カラオケボックスの帰りに一緒に遊んだ友人達にしまったという顔でぼやいた。
「これでね」
「またなのね」
「今月もお金全部使ったの」
「そうしたの」
「もうね」
それこそというのだ。
「お金残り百円ないわよ」
「うわ、まだバイト代入って十日も経ってないのに」
「もうなの」
「バイト代なくなったの」
「それでお小遣いもなのね」
「なくなったの」
「そうなの、あと二十日以上は」
それだけの間はというのだ。
「金欠病」
「今月もこの流れって」
「ループじゃない、完全に」
「それでいいの?」
「またそうなって」
「もう癖性分で」
そうなっているとだ、困った顔で言う曜子だった。
「私の場合お金はね」
「入ればすぐに使う」
「そうした癖性分ってことね」
「浪費家で」
「そうしちゃうのね、ついつい」
「そうよ、困ったわ」
今月もというのだ。
「これから苦しいわ」
「あれっ、けれど」
ここで友人の一人が曜子に言った、その言うことは何かというと。
「曜子ちゃんってお金がないないって言うけれど」
「どうしたの?」
「いや、そこで誰にもお金貸してとか言わないわね」
このことを言うのだった、街を皆で歩きながら。
「全然」
「そういえばそうね」
「曜子ちゃんってお金の貸し借りしないのよね」
「それも絶対に」
「今だってね」
そうした店の横を通ったが見向きもしなかった、未成年で借りられないがそれでも金がないと無意識のうちに見たりするが。
「無人くん見向きもしないし」
「完全スルーじゃない」
「借金はしないの」
「そうなの」
「借金大嫌いなの」
曜子は友人達にはっきりと答えた。
「実は」
「あれっ、そうなの」
「借金は嫌いなの」
「お金は使っても」
「だって。サラ金とかヤミ金の話を聞いたら」
それこそというのだ。
「物凄く怖いじゃない」
「取り立てとかね」
「無茶苦茶凄いわよね」
「そのことは」
「そうよね」
「だからね」
それでというのだ。
「私はしないの」
「借金については」
「それはしないの」
「どうしても」
「そう、本当にね」
そこはというのだ。
「借金は何があってもしないわ」
「そこはしっかりしてるのね」
「お金は使っても借金はしない」
「そこまでしてお金は使わない」
「そうするのね」
「あんな怖い思いする位なら」
その聞いた話を自分が受けるよりはというのだ。
「最初から借金しないわ」
「そのこと大きいわよ」
「お金に困ってるって言ってるうちはいいわよ」
「そこで借金に手を出さないならね」
「それでいいと思うわ」
「ええ、この癖性分は自分でも駄目だって思ってるけれど」
浪費家のそれはというのだ。
「それでもね」
「借金はしない」
「そこは守っていくのね」
「これからも」
「そうしていくわ、けれどお金欲しいわ」
また言う曜子だった、それもぼやきつつ。
「幾らあっても困らない様な」
「そこは我慢しなさい」
「我慢するのも覚えなさい」
「宵越しの銭は持たないんじゃなくて貯金も覚える」
「しっかりしなさい」
こう言ってだ、友人達は曜子に注意するのだった。そのお金を使ってしまってまた金欠病になった彼女に。
お金はいつも 完
2017・8・29
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