マフラーとマスク
 都島満里奈は冬は絶対にマスクをしてマフラーも首にかけている、それはどうしてなのかというと。
「喉がね」
「大事だから」
「そうしてるのね」
「それもいつも」
「だって私合唱部だし」
 それにとだ、満里奈もいつも答えていた。
「それにカラオケ好きだし」
「よく歌うから」
「だからよね」
「喉は大事で」
「いつもそうしてガードしてるのよね」
「マフラーにマスクで」
「そうしてるのね」
 友人達もその満里奈に言う。
「ちゃんとね」
「それでいつも万全に歌える様にしている」
「そうしてるのね」
「そうなの、喉が痛かったりしたら」
 それこそというのだ。
「歌えないから」
「カラオケは楽しめないし部活も満足に出来ない」
「だからなのね」
「冬はいつもその二つで万全のガードしてるのね」
「そうなの、そのせいかね」
 マフラーとマスクのお陰かというのだ。
「私いつも喉の調子いいわよ」
「備えていればっていうことね」
「もう憂いなし」
「最初からそうしていればね」
「問題なしってことね」
「そうみたいね、やっぱり歌が好きなら」
 趣味でも部活でもしているなら、というのだ。
「こうしたことはちゃんとしないとね」
「じゃあ私達もしようかしら」
「そうよね、満里奈ちゃん程歌は好きじゃないけれど」
「それでもカラオケ行くしね」
「それならよね」
「ちゃんとガードしないとね」
「喉はね」
 友人達も満里奈を見てそれなら自分達もと思った、それでそれぞれマフラーやマスクをしてみた。すると。
 喉の調子はいつもよかった、それで満里奈に言った。
「喉の調子いいわよ」
「マフラーかマスクしてると」
「二重なら余計によ」
「いつも調子いいわ」
「あったかいしね」
 マフラーをしていると首回りがというのだ。
「案外いいわね」
「本当にね」
「じゃあこれからも付けてく?」
「冬の間は」
「私は反対しないわよ」
 いつも付けている立場からはとだ、満里奈は友人達に笑って話した。
「実際にこれでかなり調子がいいから」
「そうよね、じゃあね」
「私達も付けていくわね」
「冬の間はね」
「そうしていくわ」
 こうして満里奈の友人達もマフラーやマスクで武装することを定着させた、それは何時しか学校の女子達にも広まった。だがマスクやマフラーをしていない面々はその彼女達を見て首を傾げさせて話をした。
「何かマスクの娘増えたな」
「ああ、マフラーの娘もな」
「冬でも多いな」
「ちょっと多過ぎない?」
「何でだよ」
「マフラーやマスクの娘が多いんだよ」
 特に男子生徒達が不思議がった、自分達の学校がおかしいとだ。
 だがそうしたファッション関係はともかくだ、彼等はすぐにあることに気付いた、その気付いたことはというと。
「今年風邪少ないな」
「そうだよな」
「うちの学校風邪で休む奴少ないぞ」
「他の学校に比べて」
「何でなんだ?」
「何で風邪が少ないんだ?」
 このことを不思議に思った、するとその彼等に保健室の先生白衣にミニスカートに泣き黒子が艶めかしい妙齢の美女が言ってきた。
「それは当たり前よ」
「当り前ですか」
「そうなんですか?」
「そうよ、だってマフラーやマスクでガードしてるでしょ」
 女の子達がというのだ。
「そうしてるとね」
「ああ、喉を守るから」
「あと風邪のウィルスとかもガード出来るから」
「だからですか」
「うちの学校風邪少ないんですか」
「そうだったんですね」
「貴方達もすればね」
 マフラーやマスクをというのだ。
「風邪ひかないわよ、インフルエンザもね」
「そうですか、じゃあ俺達もしてみます」
「風邪ひかないのなら」
「そうしてみます」
「そうしなさい、こうしたことからよ」
 風邪の予防はというのだ、そうして男子生徒達の多くのマフラーやマスクをしてみた、すると風邪はさらに減った。 
 その状況を見てだった、満里奈の友人達は口々に言った。
「そういえば歌だけじゃないわね」
「そうよね、マフラーやマスク付けてたらね」
「風邪のガードにもなるわね」
「喉だけじゃなくて」
「そうよね」
「満里奈ちゃんにしても」
「あの娘もね」
 その彼女のことも話した。
「風邪ひかないのね」
「あの娘いつも元気だしね」
「それじゃあね」
「風邪にもいいのね、マフラーやマスクって」
「というかこれ常識よね」
 当然というのだ、そして実際にだった。
 満里奈もだ、こう友人達に答えた。
「うん、私マフラーやマスクしてたらね」
「風邪ひかないのね」
「そうなのね」
「そうなの、そうしたことからもいつも付けてるの」
 マフラーやマスクをというのだ。
「風邪もひかない様に」
「そういうことなのね」
「それじゃあ風邪ひかない為にもね」
「冬はマフラーやマスクね」
「ちゃんと付けていきましょう」
 友人達はその満里奈の言葉に頷いた、そうしてマフラーやマスクを付けていた。その風邪をひかず喉の調子もいつもいい彼女と共に。


マフラーとマスク   完


                   2017・11・23

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