大阪ラーメン
 ラーメンの本場は何処から、鶴橋すずは自分が通っている中学校の自分のクラスできっぱりと言い切った。
「やっぱり大阪でしょ」
「大阪?」
「ここだっていうの」
「そう、大阪よ」
 こう言い切るのだった。
「食べものは何でも大阪が一番でしょ」
「いや、ラーメンはね」
「流石に違うんじゃ」
「そうよね」 
 友人達はすずの絶対の自信に基づく言葉にどうかという顔になって言った。
「ラーメンは札幌?」
「あと福岡?」
「この二つが二強よね」
「大阪は麺類だとおうどんよね」
「それか焼きそばよ」
「だから言ったでしょ、食べものは何でもね」
 すずは友人達の疑問の言葉にどうかという顔で返した。
「大阪が一番よ、東京なんてね」
「ああ、東京はね」
「あそこは駄目ね」
「それは私達も思うわ」
 東京への対抗意識が出ていた、すずも友人達も大坂人としてその意識は強くそれで口々に言うのだった。
「東京のおうどん辛いし」
「味付け全般が変に濃いのよ」
「しかも高いし」
「あそこは問題外よ」
「そう、東京は論外にして」
 そしてというのだ。
「ラーメンもね」
「大阪だっていうの」
「食べものは何でも一番で」
「ラーメンも然りっていうの」
「そうよ」
 本当にというのだ。
「ラーメンだって」
「ううん、大阪にも美味しいラーメンあるけれど」
「それでもね」
「流石に札幌ラーメンと比べると」
「福岡の豚骨ラーメンともね」
「私どっちも食べたことあるわよ」 
 すずはその二つの地域のラーメンもと答えた。
「旅行でね」
「あっ、そうなの」
「サッポロも福岡も行ったことあるの」
「それでどっちのラーメンも食べたことあるの」
「そうなの」
「そうよ、食べたことあるけれど」
 それでもというのだ。
「やっぱりね」
「どっちもなのね」
「大阪のラーメンには勝てない」
「そう言うの」
「言うわ、大阪はラーメンも本場よ」
 またこう言うすずだった。
「どっちもラーメンも確かに美味しいけれど」
「それでもなのね」
「大阪のラーメンの方が上なの」
「そうなの」
「そう、本当にね」
 またこう言ったすずだった。しかし。
 友人達は流石に札幌や福岡のラーメンには勝てないと思っていた。どちらのラーメンも名物と豪語し日本全体に知られているからだ。
 だがすずの言葉は変わらずだ、彼女はこう言ったのだった。
「勿論それをはっきり言える根拠はあるわよ」
「美味しいお店知ってるの」
「大阪にそうしたお店あるのね」
「ちゃんと」
「ええ、あるわ」
 実際にとだ、すずは友人達に笑顔で答えた。
「だから安心してね」
「そのお店何処?」
「何処にあるの?」
「大阪にあるのよね」
「そうよね」
「ええ、じゃあ今度の日曜案内するわね」
 笑顔で言うすずだった、こうして友人達はその日曜にすずに案内してもらうことになった。そしてだった。
 一行は上本町のある店に入った、そこは上本町の駅から数分歩いた場所にあった。そこに入るとごくフg痛のラーメン屋だった。
 友人達をそのラーメン屋に案内して座敷の席に着いてだった、すずは人数分のラーメンを注文して言った。
「若し一人でもまずいって言ったらね」
「その時は?」
「どうだっていうの?」
「皆のラーメン代払うわ」
 こう言うのだった。
「そうするわ」
「えっ、そうするの」
「若しまずかったらなの」
「私達のラーメン代払うの」
「そうするの」
「そうするわ、本当にね」
 こう言うのだった、そしてだった。
 一行の前にそのラーメンが来た、それはごく普通の醤油ラーメンで友人達はそのラーメンを見てまずはこんなことを言った。
「別にね」
「普通のラーメンよね」
「チャーシューにお葱にメンマにもやしも入ってて」
「特にね」
「これはってのないけれど」
「まあまあ、大阪っていえば金龍ラーメンだけれど」
 難波や道頓堀に何店舗もある、大坂の名物ラーメンといえばこれではとだ。友人達は実はこう思っていた。
「こっちは醤油ラーメンね」
「あっちは豚骨ラーメンで」
「キムチや大蒜入れ放題の」
「それだけれどね」
「まあ食べてみてよ」
 すずの言葉は変わらない、あくまでだった。それで言うのだった。
「そうしたらわかるから」
「ええ、まあ別に某料理漫画みたいなことしないから」
「化学調味料使うなとか言ってお店の中で喚かないから」
「そうしたことはね」
「別にしないわよ」
「そんなの人間以下の行いだから」
「あとちゃんと自分の分は払うから」
 このことも言うのだった。
「それもするから」
「すずちゃんに払わせたりしないから」
「そんなことはね」
 こう言うのだった、そしてだった。
 すずと一緒にラーメンを食べはじめた、するとその味は。
「あっ、これは」
「確かにね」
「物凄く美味しいわ」
「見た目はごく普通でも」
「それじゃあね」
 こう言うのだった、食べてみて。
「麺のコシは確かで味もよくて」
「スープいいだし出てるわね」
「コクがあってしかも飲みやすい」
「しつこくなくてね」
「チャーシューやもやしの味付けも確かで」
「どれもバランスよくね」
「無茶苦茶いいわね」
 まさにというのだ。
「いや、本当にね」
「ここのラーメン滅茶苦茶美味しいわ」
「これが大阪のラーメンね」
「こう言っていいのね」
「そう、薄口醤油でね」
 この醤油を使ってというのだ。
「このラーメンこそがね」
「日本一のラーメン」
「札幌や福岡にも負けない」
「そのラーメンだっていうのね」
「そうよ、このラーメンこそはね」 
 すずもそのラーメンを食べつつ言う、豪語している言葉だった。
「日本一のラーメンよ」
「そうね、薄口醤油のラーメン」
「これが札幌も福岡も勝つ」
「そうしたラーメンなのね」
「そうよ、これは凄いわよ」
 まさにと言うのだった、そしてだった。
 食べ終わって勘定を支払って店を出てからだ、すずは友人達に話した。
「他にも薄口醤油で美味しいお店一杯あるから」
「そうしたお店もなの」
「紹介してくれるの」
「そうさせて、薄口醤油のラーメンこそがね」
 まさにというのだ。
「日本一のラーメンなのよ」
「そうなのね」
「じゃあこれからはね」
「大阪の薄口醤油のラーメンが日本一って言われる様になるのね」
「ラーメンの本場になるのね」
「そうなるわ、王道よ」
 まさにと言ってだ、そしてだった。
 すずは友人達に大阪の他のラーメンが美味しい店を紹介していった、どの店の薄口醤油のラーメンも最高に美味く友人達は大阪のラーメンの凄さを知った、そしてすずに言うのだった。
「わかったわ、大阪のラーメンはね」
「日本一のラーメンよ」
「札幌にも福岡にも負けてないわ」
「そうでしょ、大阪はラーメンも最強なのよ」
 某公国の独裁者の演説の様な口調で言い切るすずだった。
「他の場所のラーメンはあえて言おうとまでは言わないけれど」
「流石にカスとは言わないのね」
「そこまでは言わないのね」
「二番目よ」
 今度は某ヒーローの様に恰好をつけて言った。
「大阪はラーメンも一番なのよ」
「そうね、すずちゃんに紹介されてわかったわ」
「大阪はラーメンも一番よ」
「薄口醤油のラーメンはね」
 まさにとだ、友人達も頷いた。すずの言葉は真実だとだ。その味を実際に味わったからこそ。


大阪ラーメン   完


                  2018・4・21

作者の作品一覧 クリエイターページ ツイート 違反報告
{"id":"nov152440221474276","category":["cat0004","cat0007","cat0010"],"title":"\u5927\u962a\u30e9\u30fc\u30e1\u30f3","copy":"\u3000\u9db4\u6a4b\u3059\u305a\u306f\u5927\u962a\u306f\u30e9\u30fc\u30e1\u30f3\u3082\u798f\u5ca1\u3084\u672d\u5e4c\u306b\u8ca0\u3051\u3066\u3044\u306a\u3044\u672c\u5834\u3060\u3068\u8a00\u3046\u3001\u305d\u308c\u306f\u672c\u5f53\u304b\u3002\u5b9f\u969b\u306b\u5927\u962a\u306f\u30e9\u30fc\u30e1\u30f3\u3082\u8ca0\u3051\u3066\u3044\u306a\u3044\u3067\u3059\u3002","color":"#a3a3ab"}