牛丼愛
南巽れいこの好物の一つに牛丼がある、れいこはこの牛丼を学校の帰りや遊びに行った時によく食べているが。
その牛丼についてだ、彼女の兄弟達はこんなことを言った。
「牛丼と他人丼は違うんだよな」
「お姉ちゃん前そんなことを言ってたよね」
「牛丼はお肉だけ乗せるの」
りいこは実際にそうだと答えた。
「お店で売ってるのもそうでしょ」
「ああ、チェーン店でもな」
「そうだよね」
「俺達もよく食べてるけれどな」
「手頃な安さでボリュームもあるし」
「そうよ、それで他人丼はね」
れいこは今度はこちらの話をした、今もゲームをしていてテレビに向かい合ってプレイをしているがそれをしつつ兄と弟に応えていた。
「卵とじてるでしょ」
「そこが違うんだな」
「牛肉を使った丼ものでも」
「違うのよ、これがね」
実際にとだ、れいこはまた兄弟達に答えた。
「豚丼でもそうよ」
「ああ、豚丼な」
「あっちもだね」
「まあ私豚丼はあまり食べないけれど」
あくまで牛丼派だ。嫌いではないがあまり食べないのだ。
「それでもね」
「牛丼と他人丼は違う」
「そこにあるものは大きいのかな」
「大きいわよ。あと牛肉を使ってもね」
それでもとだ、れいこはゲームをしつつ兄弟達にさらに話した。ゲームのプレイは達人の域に達していて実況動画の様に順調に進んでいる。
「ステーキ肉だとね」
「ステーキ丼か」
「それになるんだ」
「そうよ、あと牛カツだと」
こちらだとどうなるかもだ、れいこは話した。
「牛カツ丼よ」
「牛丼は牛丼でか」
「他人丼は他人丼で」
「ステーキ丼も牛カツドンもか」
「それぞれなんだ」
「そして私はね」
れいこは今度は自分の話をした。
「牛丼派なのよ。牛丼屋さんに入って」
「牛丼を食う」
「そうしてるの」
「そうよ。その上に卵を乗せて紅生姜もたっぷりと乗せて」
そしてというのだ。
「食べるのよ。お金がなくて卵を買えない時も」
「その時でもか」
「牛丼を食べるんだね」
「そうよ。紅生姜を乗せて」
このことは外せなかった、れいことしては。
「思いきり食べるの。御飯粒も残さずにね」
「一粒もか」
「そこまで食べるんだ」
「一気にね。確かに他人丼やステーキ丼や牛カツ丼も悪くないけれど」
実はどちらも嫌いではない、しかしなのだ。
「やっぱり牛丼でしょ」
「あれが一番か、れいこにとっては」
「お姉ちゃんは本当に牛丼が好きなのね」
「そうよ、早い安い美味しいにね」
牛丼でよく言われている三拍子だけではなかった、れいこが牛丼に対して持っているそれは何かというと。
「ボリュームもあるから」
「だからか」
「余計にいいんだ」
「そうよ、またお小遣いが入ったら」
その時はというのだ。
「牛丼食べるわ」
「そうするんだな、また」
「食べるんだね」
「そうするわ」
実際にとだ、こう言ってだった。
れいこはゲームのプレイを進めて無事にそのゲームをクリアしてその実況をユーチューブにあげサイトも更新した。
そのゲームプレイも楽しみつつだ。牛丼もだった。
楽しんで食べていた、お小遣いが入ると実際にだった。
友人達と共に学校の最寄りの駅の前にある牛丼屋に入った、そこで店の店員に言った。
「特盛で玉もお願いします」
「わかりました」
「あっ、それと」
言ってすぐにもう一品思い出した、その一品はというと。
「お味噌汁も」
「そちらもですね」
「お願いします」
この注文をしてだった、れいこはカウンターの近くの席に座った。そうして待つ間友人達と談笑をはじめたが。
ここで友人達はれいこに言うのだった、その言うことはというと。
「れいこちゃん本当に牛丼好きね」
「いつも思うけれどね」
「ハンバーガーやフライドチキンよりもね」
「牛丼よね」
「こっちよね」
「ええ、牛丼はね」
本当にとだ、れいこ本人も答える。
「大好きだから」
「他の食べものよりも」
「そうなのね」
「いか焼きやりんご飴も好きだけれどね」
れいこは自分の他の好物も挙げた、だがそれでもというのだ。
「お腹が空いた時はね」
「牛丼なの」
「これなの」
「だってボリュームもあるから」
ここでも量の話をするのだった。
「だからね」
「それでなの」
「よく牛丼食べるの」
「ハンバーガーとかよりも」
「そうなの、しかもこうしたことをお話しているうちに」
「お待たせしました」
店員の兄ちゃんが言ってきてだ、早速だった。
れいこの前に牛丼特盛が生卵と一緒に出された、お味噌汁も付いている。そしてそれは彼女のものだけでなく。
他の娘達の分も来た、れいこは牛丼の上に紅生姜を多めに乗せてから割り箸を出しつつまた言った。
「来るからね」
「この早さもいいっていうのね」
「注文してすぐに来るから」
「だからっていうのね」
「そうなの、この速さがね」
実際にというのだ。
「いいのよね、じゃあね」
「今から食べる」
「そうしようっていうのね」
「そうしましょう」
こう言ってだ、取り出した割り箸を割ってそれからだった。
生卵を牛丼の上に乗せて牛丼ごとかき混ぜてから食べはじめた。そうして友人達と共にお喋りもしつつだった。
牛丼をお味噌汁と共に食べていった、その味を充分に楽しみ。
御飯と牛肉についてもだ、友人達に話した。
「いや、御飯と牛肉の組み合わせがね」
「確かに美味しいわね」
「玉葱も入っていてその味もいいし」
「確かに美味しいのよね」
「これが」
「食べやすいのよね」
牛丼の味はというのだ。
「だから手軽に食べられるのよね」
「それは確かね」
「遊びに行った時お昼特に食べるものがない時とか」
「牛丼食べたらすぐだから」
「いいのよね」
「そうでしょ、本当に牛丼はね」
まさにと言うれいこだった、その牛丼を美味しく食べつつ。
「最高の食べものの一つよ」
「そこまで言うの」
「最高の食べものって」
「そうしたレベルに達しているって」
「実際にそう思うから」
その気持ちに心の中で正直に頷いて、というのだ。
「言うのよ。しっかり食べて」
れいこはそこから先のことも話した。
「ダンスも頑張るわ」
「ダンスって汗かくからね」
「それもれいこちゃんのダンスって激しいから」
「カロリー消費激しいし」
「牛丼はそうした意味でもいいのね」
「そうなの。食べ過ぎたらそれはそれで駄目だけれど」
食べた分身体が重くなるからだ、れいこはこのことも頭に入れているのだ。
「けれどね」
「牛丼位のボリュームだといいのね」
「特盛でも」
「それ位なら普通に動けるのね」
「ダンスでも」
「私としてはね。だからね」
それでというのだ。
「ここでしっかり食べて」
「ダンスも頑張る」
「そうするのね」
「そうするわ」
こう友人達に話してだった、れいこは牛丼の特盛生卵を入れたそれをお味噌汁と共に食べてからだった。
お勘定を払った、ここでまた友人達に話した。
「しかも結構食べたのに」
「それでもっていうのよね」
「お勘定のことも」
「そっちもよね」
「ええ、安いじゃない」
経済的な面でもいいというのだ。
「そうでしょ」
「ええ、高校生でも食べられる位よ」
「気軽にね」
「アルバイトしてると余計にね」
「お財布の負担にもならないわ」
「この面でもいいからね」
それでというのだ。
「私は牛丼大好きなのよ」
「それでいつも食べてるのね」
「今も食べたし」
「それでなの」
「そうよ、じゃあダンス頑張るわ」
こう言ってれいこは友人達と共に店を出た、そうしてダンスに励んでだった。
家に帰って夕食を食べた後またゲームをしたがこの時にまた兄弟に言った。兄弟達はそれぞれ漫画を読んだりスマホのゲームをしたりしている。
「何かね」
「何か?」
「ゲームのプレイで何かあったの?」
「いや、今日は牛丼を食べたせいか」
ここでも牛丼の話をするのだった。
「いつもよりプレイが冴えてる感じがするわ」
「いや、御前御前してるのシュミレーションだぞ」
「冴えとかは関係ないんじゃないの?」
兄弟はれいこの今の言葉にすぐに返した。
「シュミレーションはそのゲームをどう把握してるからだから」
「それで遊ぶものだからな」
「格闘やシューティングと違って冴えとかはな」
「別に関係ないでしょ」
「頭が冴えてるのよ」
れいこは兄弟達にその冴えのことを話した。
「それでなのよ」
「プレイがいいっていうのか」
「それで冴えてるっていうんだ」
「牛丼を食べた日はいつもこうなのよね」
笑ってこんなことも言った。
「いや、牛丼は本当にいいわね」
「そこでまた言うのか」
「牛丼がいいって」
「なんか本当にな」
「お姉ちゃんは牛丼好きよね」
「だからこれからも食べるわ」
笑顔で言うれいこだった、そうしてゲームを楽しむのだった、牛丼を食べたせいか冴えているプレイに気をよくしながら。
牛丼愛 完
2018・4・23
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