電気少女
 前園みゅうは雷に打たれてから常に身体から放電している文字通りの電気少女になった、それで困っているかというと。
 そうでもなかった、その放電している電気を発電所で提供するとかなりの収入が得られる。その為みゅうは大金持ちになっていた。
 しかもだ、その電気が武器になってだった。
 悪人達を成敗していた、つまりみゅうは大金持ちでありしかも正義のヒーローという極めて恵まれた立場になっていた。
 だが悪の組織にとってはみゅうはとんでもない存在だった、何しろその電気の力で自分達を成敗するからだ。
 それで某悪の組織がみゅうをどうするかという会議を行っていた。
 大幹部である博士が怪人達にこう言っていた。
「何といっても前園みゅうの武器は電気だ」
「はい、あれですよね」
「あれを何とかしないと」
「どうにもなりませんね」
「前園みゅうを倒せません」
「そして前園みゅうを倒せないと」
 そうならばというのだ。
「我等の世界征服の野望は果たせません」
「あの女を倒さなくてはです」
「どうにもなりません」
「そうだ、あの電気の力を封じねばだ」
 博士は怪人達に言うのだった、白いタキシードに黒いマントという如何にもマッドサイエンティストという恰好で。
「我等に明日はない」
「ではどうしますか」
「前園みゅうについては」
「あの女の電気については」
「どうしますか」
「電気を防ぐ為にだ」
 まさにその為にとだ、ここで博士は知恵を出した。
「耐電だ」
「では我々にですか」
「耐電対策を施しますか」
「そうするのですね」
「そうだ、そうして前園みゅうの電気を防いでだ」
 そのうえでというのだ。
「あの女を倒すぞ」
「わかりました、ではですね」
「これより我等に耐電コーティングを施す」
「そうして頂けるのですね」
「そうする、勝利の為にな」
 自分達のそれの為にとだ、博士は強い声で言ってだった。
 そのうえで怪人達に耐電コーティングを施した、そのうえで前園みゅうを誘き寄せる為に彼等を街で暴れさせると。
「これ以上勝手なことはさせないわよ!」
 そのみゅうが電気で動くマシンで駆けつけてきた、そうしてすぐにだ。
 怪人達と電気を使った戦いに入った、みゅうは高圧電流を腕からビームの様に放って怪人達を撃ったが。
 怪人達はびくともしない、それでみゅうはすぐにわかった。
「そうね、あんた達は」
「流石は前園みゅう、すぐに気付いたか」
「そうだ、その通りだ」
「博士は我等の身体にコーティングをして下さったのだ」
「耐電コーティングをな」
「だからだ」
「我等には最早電機は通じないぞ」
「貴様の電気はな」
 みゅうの武器であるそれはというのだ。
「それで勝てると思うか」
「前園みゅう、貴様の負けだ」
「電気が通じない今貴様に勝利はない」
「遂に我等が勝つ時が来たのだ」
「世界征服が達成される時がな」
「そう思うのなら甘いわよ」
 勝ち誇る怪人達にだ、みゅうは笑って返した。
「到底ね」
「?どういうことだ」
「電気が通じないというのに」
「今見た通りだ」
「貴様の電気は通じないぞ」
「それでも何だ」
「その余裕の笑みは」
 怪人達はみゅうの余裕の笑みに理解出来ないものを感じた、それは何故かと。それでどの怪人達も首を傾げさせていたが。
 みゅうは電気をスパークさせて放った、するとだった。
 スパークから火花が起こった、その火花がだった。
 忽ち火から燃え盛る炎となった、その炎が怪人達を襲い。
 彼等を焼いた、それで耐電コーティングが焼け落ちてしまい。
 そこにみゅうは攻撃を仕掛けた、空高く飛翔しそこで前方一回転をして急降下で両足での蹴りを放った。
「趙電気スパークキーーーーーック!!」
 蹴りが怪人達を貫き一掃した、みゅうは爆発する怪人達の後ろに着地し颯爽と立ち上がった。そのうえでこう言ったのだった。
「耐電コーティングをしても火花から生じる火炎までは防げないわよ」
 そして耐電コーティングを燃やしてしまえばいいというのだ、みゅうは電気を使うだけあってそうしたこともわかっていたのだ。
 こうして博士がみゅうの電気への対策を講じたうえで送り込んだ怪人達を倒したみゅうだが組織はまだ怪人達を送り込んでくる、みゅうもそのことはわかっていた。だがみゅうは敗れる気はなかった。これからも人々に電気を供給し組織と戦うことを誓うのだった。


電気少女   完


                    2018・5・20
 

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