人間はチョコレート
 天井モモカはチョコレートが好きである、基本何でも食べるが何といってもチョコレートが好きである。
 それでだ、よく食べるのだがある日母親にこんなことを言われた。
「あんた本当にチョコレート好きよね」
「好きよ」
 その通りだとだ、モモカも答えた。
「それも大好きよ」
「そうよね」
「最近高いって話聞いたけれど」
「いや、流石にスーパーとかで売っているみたいね」
「そうした普通のチョコはなのね」
「そうそう高くならないわよ」
 流石にというのだ。
「高級なのならともかく」
「そうなのね」
「あんまり高くなったら」
 それこそというのだ。
「商売にならないでしょ」
「そうよね」
「ある場所で作らなくなったら」
 母はチョコレートの原材料のカカオの話をした。
「別の場所でね」
「作るのね」
「だからよ」
「そんなに高くならないの」
「少し前に食べられなくなるって話あったでしょ」
「あの時私もね」
 よく天然と言われて実際楽観的であるモモカにしてもだ。
「どうなるかって思ったけれど」
「それでもだったでしょ」
「ええ、高くなってるかっていうと」 
 少なくともモモカが買う様なスーパーやコンビニや普通の商店で売っている様なチョコレートはである。
「別にね」
「そんなものよ、世の中は」
「あるところで作らなくなったら」
「別の場所で作って」
 そうしてというのだ。
「需要と供給が成り立つのよ」
「需要と供給ね」
「これはわかるでしょ」
「学校で習ったわ」
「だったらわかるでしょ、チョコレートは皆食べるし」
 お菓子の定番の一つだ、よく食べるのはモモカだけではない。
「だからよ」
「高くならないのね」
「皆が食べるなら作るのよ」
「そういうことね」
「そう、だから安心してっていうか」
 ここで母は娘にこうも言った。
「あんたは別に心配してないわね」
「まあチョコレート食べられなくなるとか」
「高くなるって言われた時は思ってもだったわね」
「特にね」
 実際にこれといってだった。
「思わなかったし」
「そうでしょ、だからね」
 それでというのだ。
「あんたは楽観的で」
「自分でもそんな性格だって思うわ」
「そうでしょ、だからね」
「お母さんもそう言ったのね」
「そうよ。チョコレートはね」
 それはというのだ。
「人類が滅亡しない限り」
「そうでもならないと」
「そう、食べられるわよ」
 こう娘に言うのだった、そしてその娘もだ。
 いつも安心してチョコレートを食べて楽しんでいた、それで学校でも昼食の後にチョコレートを食べて。
 友人達にだ、こんなことを言われた。
「お昼おやついつも食べるけれど」
「絶対にチョコレートよね」
「チョコレートそのものかチョコレートを使ったお菓子」
「そういうのばかりね」
「好きだから」
 モモカは友人達にそのチョコレートを食べながら笑顔で答えた。
「それに目が覚めるじゃない」
「中のカフェインで」
「それでよね」
「そのこともあってなの」
「それで食べてるの」
「そうなの。居眠りはね」
 流石に授業中のそれはというのだ。
「よくないって思ってるし」
「だからなのね」
「おやつは絶対にチョコレートなのね」
「お昼は」
「そうなの。美味しいし」
 それに加えてというのだ。
「これが一番大きな理由だけれど」
「成程ね」
「だから食べてるのね」
「確かにモモカちゃん居眠りはしないしね」
「いつもちゃんと起きてるし」
「そうなの。だからね」
 それでというのだ。
「いつも食べてるのよ」
「成程ね」
「それじゃあ私達も食べようかしら」
「居眠りって先生に怒られるし」
「怒られるよりはね」
 友人達も言ってだ、彼女達もチョコレートを食べる様になった。そしてモモカはこの時からもだった。
 チョコレートを食べていた、それは家でもで食後テレビを観つつチョコレートを食べていたが今度は酒を飲んでいる父に言われた。
「またチョコレート食べてるんだな」
「うん」
 その通りだとだ、モモカはその父に答えた。
「好きだから」
「食べ過ぎないようにな」
「そのことは気をつけてるから」
 モモカにしてもそれはしっかりと考えているのだ。
「安心して」
「いつも程々に食べてるんだな」
「私にとって御飯みたいなものだから」
「御飯?」
「お昼と晩に食べる」
 その二食の時にというのだ。
「最後にね」
「そうか、デザートにか」
「絶対に食べてるから」
「だからか」
「いつもね」
「程々にしてるんだな」
「板チョコだと一枚」
 モモカは量の話もした。
「お昼半分、夜半分で」
「一枚か」
「そう、一日一枚にしてるの」
「本当に程々だな」
「だって太るし」
 お菓子だからだ、モモカは年頃の女の子らしく体重には気をつけているのだ。
「だからね」
「程々にしていて」
「そうなの」 
 それでというのだ。
「それで毎日食べてるの」
「それはいいな」
「ええ。ただお父さんも今は」
 ここでモモカは父を見た、見ればテーブルの自分の席に座ってブランデーをロックで飲んでいるがその肴はというと。
「チョコレート食べてるわね」
「これか」
 見れば小さく四角く切って袋に包まれているタイプのチョコレートだ、それを食べつつブランデーを飲んでいるのだ。
「合うんだよな」
「お酒になの」
「ああ、お酒にも合っていてな」
 チョコレート、これがというのだ。
「ブランデーあとワインにな」
「それで今はなの」
「一緒に食べてるんだよ」
「お酒に合うの」
「日本酒や焼酎は駄目だぞ」
 こうした日本の酒には合わないとだ、父はきっぱりと断った。
「けれどな」
「ブランデ―には合うの」
「ワインにもな」
「あっちのお酒には合うのね」
「ああ、御前も大人になったらな」
「ワインやブランデーを飲みながら」
「チョコレートを食べてもいいぞ」
 こう言うのだった。
「ビールには合わないがな」
「わからないけれど」
 モモカはまだ未成年なので酒は飲んだことがない、それでこう言ったのだ。
「けれどなのね」
「ああ、美味いからな」
「だから大人になったら」
「チョコレートと一緒に飲むのもいいからな」
「じゃあね」
 大人になった時にとだ、モモカは父の言葉に頷いた、そしてその話の後で次の日学校で友人達に父のことを話すと。
 友人達もだ、口々に言った。
「あっちのお酒だと結構あるわよね」
「そうよね」
「ワインとかブランデーにチョコレートってね」
「他の洋菓子もあるしね」
「ケーキとかね」
「そうなのね。じゃあ私も」
 モモカは友人達に父に言われた言葉を思い出しつつ述べた。
「大人になったら」
「ええ、その時はね」
「ワインとかブランデーと一緒にチョコレート食べるのもありでしょ」
「ウイスキーボンボンもあるしね」
「じゃあウイスキーと一緒もいいわね」
 モモカはこちらの酒もと述べた。
「それじゃあ」
「いいんじゃない?そっちも」
「時差氏にウイスキーボンボンあるし」
「それだったらね」
「食べればいいわよ」
「そうよね」
 その言葉に頷いてだ、モモカは大人になれたあらためてと思った。そのうえでこの昼も食後のおやつにチョコレートを食べた。それも美味しく。


人間はチョコレート   完


                   2018・10・22

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