完成
「完成だーっ!」
僕は喜びに打ち震えた。もはや起死回生は確定されたも同然、我ながらとんでもないモノを開発してしまったぜっ、と一人ドヤ顔で顎に手をやるのも今なら許されるだろう。
しかし浮かれてばかりもいられない。研究室の時計を見やると午後五時を二分ほど過ぎたところだった。彼女が襲撃もとい訪問するのは午後六時。
この大学から僕が住むアパートまでは自転車で三十分以上かかる。
「本当は動作テストをしたかったんだがなぁ」
腕にはまったCリングを見つめながら、僕は一人ごちた。
Cリングはケーブルを介してタワー型のPCと繋がり、僕が開発した『ステルス・ライ』をインストール中である。
これさえあれば――。