プロローグ 貴方の名前は何ですか?

(ここは何処だ?)

(俺は何でこんな所に居るんだ?)

『気がついた?』
『君は?』
『私の名前はミラ。あなた居住区の門の前に倒れてるんだもの、大丈夫?』
『特には、助けてくれてありがとう』
『良いのよこんな時代だし助けあいが大事でしょう?』
『それより本当に大丈夫?あなた1週間も寝ていたのよ?』

(1週間か…だけど俺は何をしていたんだ?)

『あなた名前は?』
『えっ』
『いつまでもあなたじゃだめでしょう?』

いま『えっ』といったのは疑問に思った訳ではない一瞬自分の名前がわからなかったのだ

『俺の名前は神凪、神凪 アキト』
『アキトねよろしくアキト!』

ミラは初めて笑ってくれた。

『でもアキト、あなたはなんで門の前に倒れていたの?アキトなんてうちの居住区には居ない筈だし。』
『わからないんだ自分の名前以外全部何もかも』
『そっか』

(本当に何も憶えていない、俺に何が起きたんだ?)

『魔獣だー‼︎魔獣が襲撃してきたぞ〜‼︎』

けたたましいサイレンの音と共にそんな声が聞こえてきた。

何も喋らない俺を恐れているのだと思ったのだろうミラはこんなことを言った。

『大丈夫よ、うちの地域の【シリウス】はとても強いから』

だが俺が思っていたことは恐怖では無かった。

(魔獣を倒さなければ)

そんなことだけだった。

(シリウス?)

その単語にも聞き覚えがあった。

が、その瞬間激しい頭痛に襲われた。
のたうちまわる俺を見てミラは薬屋に頭痛薬をもらって来てくれると言った。

だけど30分経ってもミラは帰ってこなかった。
俺の頭の中に血塗れのミラの光景が浮かんだ
何も憶えていない筈なのに相手の魔獣まではっきりと。

(ミラを助けなければ)

そんな一心で俺はベッドから立ち上がったいつのまにか頭痛は収まっていた。

しばらく走っていると魔獣の叫び声が聞こえてきた、ミラの叫び声と共に。

(間に合え‼︎)

俺は全速力で声の聞こえた方向に走った。


『ミラーっ‼︎』

俺はミラをだき抱えて逃げた。

『あ…りが…と…う…』

声がとても弱々しい、どこか怪我でもしているのかと、思ったがその心配はなさそうだ。

『うちの隣の家の人が…魔獣に…』
『大丈夫俺たちはまだ生きてる!』
『うん……』

ミラはそうだと言って握りしめていた拳を開けた。
そこには薬が握られていた。

『ゴメンね、他は全部魔獣が来た時に落としちゃった…』
『ありがとう』

俺はそう言って薬を飲んだ頭痛は治っていたがその心遣いを無駄にはできなかった。

町には血塗れの人々で溢れかえっていた。
その中を俺はミラを抱えて走った。

『そういえば【シリウス】はどうしたの?』
『まだ着かないみたいなの…』

その瞬間目の前に魔獣が現れた。




叫び声をあげながらこちらに向かってくる。完全に餌としてしか見られていない。

(嫌だ、もう誰も失いたくない‼︎)

何故[もう]といったのかわからなかったが体がかってに動いた。

ミラを安全なところに置き、

アキトは魔獣と正面から向き合った。
アキトはこれからどうするべきか考えずに、いや考える前に体が動いた

(これは俺の記憶なのか?)

俺はそのまま魔獣を蹴り飛ばしたが、

『硬い』

そうつぶやきながら俺は追撃に入っていた。
瞬間俺の拳は炎に包まれた。

『熱っ……くない?』
『これは魔法?』

そう思ったあと俺は意識を失った。






『これはどういうこと?』
魔獣襲撃の通報をうけてから30分ほどあとシリウス隊員、ミサトは驚愕した

町は炎に包まれて人はおろか魔獣まで居なかったのだ。

『とにかく生存者を探さなければ』

そう言って捜索を開始した。







『なるほど生存者は二人で魔獣の死骸が5匹発見したわけだね』
『はい、報告は以上です』
『その生存者はどうしたのかな?』
『いまはシリウスの病室に寝かせてあります』
『そうか報告ありがとう』
『それでは失礼いたします』

完璧な敬礼をしてから彼女は出て行った。



『この青年がなにか知っているのか?』
彼女、ミサトがでていってから彼はそうつぶやいた。

ムササ
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ムササ

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