この世界は、いつから始まったと言い表すのが正しいのだろう。大陸の歴史が始まったとされる200年前からだろうか? それとも封魔烈火の起こった400年前から?
いや、両方とも違う。僕は“さっき始まった”と言うのが正しいと思う。
この世界には“封魔ふうま”というものがある。僕達で言う所の魔法という事で相違無いだろう。体を流れる“魔力”を行使し、その魔力をイメージで形にして“封魔”と成す。言葉で言うは易いが、実際は難儀なものだ。かく言う僕も、これの習得には少し手間取った。博士の計らいでかなり優遇されている僕でもこれなのだから、この世界に住む人々は更に難儀している事だろう。果たして彼はどうなのだろうか……それはこれからを見守るしかない、か。
しかし、この世界は広い。いくら僕といえどワープして移動できるわけではないから、まだほんの少ししか見て周れていない。しかし彼女達二人が近くにいるのは分かった。ひとまずはそれで安心していいだろう。
これから僕はどう立ち回ればいい? 彼に真実を僕の口から伝えるのは博士に禁止されている。なるべく遠回しにサポートしろとのお達しだが……本当にこんな事で彼が救えるのだろうか。
――やめよう。そんな事、考えたって仕方ない。僕は僕の出来ることを出来る限りやるだけだ。
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