「この携帯は天使と悪魔だけが持っている通信機のようなものだ、悪魔からメールが来ると悪魔の着信音、天使からメールが来ると天使の着信音がなるように出来てるんだ、
元々はどちらかの門から脱走者が手強い時に呼ぶ連絡用だったが、天使と悪魔の中は悪く
今まで一度も使った事がないらしい」
そういい、ポケットに携帯を戻すと、大和さんは続けて喋り始めた。
「それと、悪魔にもいい奴が一人だけいてな、そいつに悪魔達がどういう行動を取るかスパイをしてもらってるんだ、俺はそいつに会いにいって情報をもらいに会いにいくつもりだ」
「あのぉ…わ、私は行ったら迷惑でしょうか?迷惑じゃなければ是非お供をさせてほし…」
「迷惑だ!」
わ、分かってましたよ…
私が悲しんでると、大和さんは話を続けました。
「その悪魔と会う前にまず大天使カミネスに会って渡してもらってほしいものがあるんだ、
お前には荷物運びをしてもらう」
「ま、任せてくださ~い…」
少し苦笑いになりながらその天使さんの元へと私達は向かいました。
私達が歩いている途中、辺りは妙な光景に包まれていました。
「大和さん、ここの皆さん何か様子が変じゃないですか?皆さんの目を見て下さい」
そこに映っていたのは、虚ろな目をした人間だった。
「何言ってんだ、お前だって俺について行く前はあんな目を
してたんだぞ」
え……私があんな目に?
私が驚くと大和さんは虚ろな目の原因について語り始めた。
「お前ここに来る前に変な事は無かったか?記憶が飛んでるとか」
記憶が飛ぶ…そういえば…
「私が死んだ理由とか、両親の顔とか覚えてないんですよね…」
「やっぱりお前もそうだったか」
「やっぱり?」
大和さんの発言に疑問が浮かんだので返すように聞いてみると、大和さんは
衝撃の一言を返してきた。
「これは悪魔で俺の予想だが、俺もお前も死ぬ記憶やら両親、具体的にまとめると心残りになる厄介な記憶は全部残って無いらしい」
「記憶が消された……?」
私が驚きながらぼーっとしていたが、大和さんは
話を止めずに続けた。
「心配するな、この世界について今最も詳しいのが、その大天使カミネスなんだ、
と言ってる間についちまったようだな…」
そこにあったのは
数十メートルある鉄の扉と、私達を出迎えるために待ってくれてたような、三メートルの長身の天使の姿だった。
「お待ちしてましたよ、お二方様、ささ、私について来てくださいませ」
そういい、その天使は扉めがけて歩くと、突然消えた。
「や…大和さん?今のは一体…」
「何言ってやがる、俺達も一度はあの扉をくぐって冥界外に出れたんだろうが」
そういえばあの時私の体は突然オーラに包まれて、天国から冥界へと、
ワープするように消えたんでしたっけ…
納得したところで私達はその扉目がけて、駆け抜けてゆきました。
「ほ…本当だ凄い…」
私達はカミネスさんの部屋に向かってる途中雑談をしていました。
「そういえば、次の五輪ピックはいつどこでやるんだ?」
「え?五輪ピックですか?えっと…四年後で、日本で開催するとか…」
その言葉を聞いた瞬間大和さんの目が輝いていました。
へえー大和さんってスポーツ観戦が好きだったんだ、今の世界の事は何も知らないと思ってましたが、案外以外な面もあるようですね。
ご機嫌そうに歩いている大和さんが少し微笑ましいです。
「お二方、ここがカミネス様のお部屋です、どうぞごゆっくり」
そこについたのはまたも、大きい鉄でできた扉でした。
私達はもう一度その扉めがけて、走り抜けていった後、そこに見えたのは数十メートルの長身、大天使カミネスさんが大きなイスに座ってたのです。
「二人ともよく来てくれました、私はカミネス、天国を管理してる者でもあります、
どうかよろしく」
その声は、かなり大きい体格からはとても考えられない、綺麗な声だった。
そして私達は先ほど話した記憶が消された事を大天使カミネス様に全て
話した。
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