Ⅲ―ⅲ 人肌ていど?
それからキュリオはジルのセンスが際立つ料理を口に運びながらも…しきりに何かを気にしている。異変に気が付いたのは後方に待機している侍女だった。
「いかがなさいましたか?キュリオ様」
もぞもぞと何かを頬に当て、首を傾げているキュリオの後ろ姿はとても不思議な光景だったのだ。すると振り返ったキュリオは思いもよらぬ言葉を口にした。
「人肌ていど、とはいうものだが…難しいものだな」
「人肌…ですか?」
驚いた侍女は目を丸くし、キュリオとの距離を縮めると…彼が握っている小さなボトルを目にした。
「…中に入っているのは何でございましょう?」