Ⅳ―ⅱ 料理長への差し入れ
『はっ!!もしやっっ!!』
とすぐに室内から彼の声が聞こえバタバタと足音ののち、扉が勢いよく開いた。すると、室内からこちらを覗き込むのはジルと…見習いとおぼしきあの料理人たちだった。
「わわっ!!キュリオ様っ!?」
またも顔を赤くし照れたようにあたふたする男たちは、せわしなく室内を歩き回っている。
「これ!みっともない!!大人しくせんかっっ!!」
ジルの喝が飛ぶと、若い男たちは悲鳴にも似た声をあげた。
「は、はいっ!本日はこれにて失礼いたします!!」
「私のことは気にせずとも…」
キュリオが気を利かせて声をかけるが、彼らは頭が膝についてしまいそうなほど深く頭を下げるとそそくさと部屋を出て行ってしまった。
「いいんですよっ!キュリオ様!!
貴方様の姿をその目に出来ただけであいつらは十分過ぎる程ですからっ!!」