第1話 桃から生まれたモジャ太郎
むかしむかし、あるところ(個人情報特定防止のため詳しい住所は伏せさせていただきます)におじいさんとおばあさんが二人で住んでおりました。おじいさんは観音山へ芝刈りに、おばあさんは余呉川へ洗濯に行きました。すると余呉川の上流からドンブラコドンブラコッコと大きな桃が流れてきました。おばあさんはその桃をエッコラセエッコラセと家へ持って帰りました。
芝刈りから帰ってきたおじいさんは、その桃を芝刈り用なた包丁で切りつけました。しかし、桃は割れません。今度はおばあさんと力を合わせて、オコナイ行事で餅を切るために使う長刀(ながた)で桃を切りつけました。するとパッカーンと桃が真っ二つに割れました。
桃の中から現れたのはなんと人間の赤ん坊でした。それも最近インスタなどで話題の生まれた時からフサフサ髪の爆毛赤ちゃんでした。赤ん坊の髪の毛はアフロヘアーのごとくモジャモジャでした。おじいさんは桃から生まれたそのモジャモジャヘアーの赤ん坊を桃太……いや、「モジャ太郎」と名付けることにしました。おじいさん、おばあさんは子宝に恵まれなかったので、モジャ太郎をたいそう可愛がりました。