第2話 マサカリ担いだモジャ太郎
モジャ太郎はすくすく元気に育ちました。どのくらい元気かと言うと…。
ある日のことです。小学校の帰りの会で先生から
「熊が出たみたいなので、皆さん気をつけて帰りましょう。」
と言われました。
今のような物騒な世の中ではなかったため、子供達も集団下校ではなく、学校が終われば勝手に帰ります。学校に残って遊ぶ者、すぐさまダッシュで帰ってドラマの再放送を見る者、様々でした。
モジャ太郎の村の近くではよく熊が出ました。けっこうな確率で出るので、先生も生徒も慣れっこでした。だから熊が出たからといって集団下校しようとかはなかったのです。これはこれで物騒な気はしますが……。
モジャ太郎は動物が大好き。動物を家来にすることがモジャ太郎の憧れでした。だから熊が出ると聞いたら、マサカリ担いで、熊を家来にスカウトしに行くのでした。
「熊さん、熊さん、オイラの家来になぁれ!」
とモジャ太郎は熊に言いました。すると、
「いいとも、いいとも、いいとも〜。ただし、相撲でオレに勝ったらな。」
と、熊はモジャ太郎に言いました。
さあ、相撲の始まりです。
ハッケヨイ ノコッタ!
ハッケヨイ ノコッタ!
ハイシィ ドウ ドウ!
ハイ ドウ ドウ!
ハイシィ ドウ ドウ!
ハイ ドウ ドウ!
しかし、モジャ太郎は熊にボコボコにやられてしまいました。ボロ雑巾のように地べたに這いつくばるモジャ太郎。
悔しい!悔しい!
悔しい!悔しい!
悔しい!悔しい!
だか、それでいい!
モジャ太郎はその悔しさをバネに強くなることを誓うのでした。しかし、おじいさんとおばあさんが過保護なため、モジャ太郎は甘やかされて育つのでした。当然強くなるわけもなく…。
ちなみに、この熊事件で傷ついたモジャ太郎を見て、おじいさん、おばあさんは学校に怒鳴り込んできました。これが俗に言うモンスターペアレントの始まりとか言われたり、言われなかったり、それは定かではない…。