第3話 オコナイ 鉄の掟

それはモジャ太郎が小学二年生の冬でした。モジャ太郎の家にオコナイ番(オコナイさんの当番)が回ってきたのでした。
オコナイさんとは神様を一年間ずつ村の各家で守るという伝統的な風習です。通常の村だとオコナイ番が回ってくるのは30年に一度ぐらいです。しかし、モジャ太郎の村は家が少ない小さな小さな村でした。なのでオコナイ番もオリンピック並みの周期でやってくるのでした。
モジャ太郎の村では、オコナイ番の家に「ある掟」が与えられるのです。まさに「鉄の掟」です。それは、オコナイ番の家では一年間、牛や豚など、四足歩行の動物の肉を一切食べてはならないというものでした。
肉好きのモジャ太郎にとって、それはあまりにも辛い掟でした。モジャ太郎はその掟に耐え切れず、鬼ヶ島に鬼を退治しに行くと嘘をついて家を出る決意をしました。
過保護なおじいさんとおばあさんは猛反対しました。しかし、こうと決めたモジャ太郎の意思を誰も止めることはできなかったのです。旅立つモジャ太郎におじいさん、おばあさんは吉備団子を渡そうかと思いましたが、なかったので代わりに暫(しばらく)とサラダパン、あと、いらないのに鮒寿司を持たせてくれました。
おじいさん、おばあさんとの別れのつらさ、鮒寿司の匂いで、モジャ太郎は涙ぐみながら家を出るのでした。こうして、モジャ太郎の冒険は今、まさに始まるのでした。

ケンタロー。
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ケンタロー。

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