緊張の月曜日

 私は幽霊である。名前はあるけど言わなくてもいいだろう。
 私はいつからか人を驚かす事を楽しみ、連日行っている。

 一昨日の夜、私はいつものように人を驚かそうとした、ターゲットは一人暮らしの男性だ。
 ターゲットにする基準は一人暮らしを基準にしている。

 いつものように男性を金縛りにした、他の人のように怖がるのが面白くてたまらなかった。
 もうひと押し、そう思って姿を見えるようにしてお決まりの言葉
「うらめしや~」
 そう言うと男性は目を見開いて呻き声のようなものを出していた。
 これは怖がってる、面白い、そう思って私は控えめに笑った

 そんな私を見た男性は少しの間固まった後に口を開いた。
「美しい!!」
「え、は……へ?」
 私は意味が分からず姿を見えなくして部屋から立ち去った。

 昨日も同じような結果となり、月曜日、三度目の正直だ。
「今回こそ驚かせる!」
 私は誰にも聞こえない大声で決意を固めて夜を待った。


 夜中の二時、私はあの男性の部屋を除いた、ぐっすり寝ているようだ。
「えーと……えい!」
 私は男性に金縛りをかけた、男性の目がすぐ開いた。
「こんにちは」
 私が口を開く前に男性が口を開いた、この人の口に金縛りは何故か効かないようだ。
 私は驚かせるために用意した血糊だらけの顔を男性の目の前に顔を突き出した。
「…………」
 男性は目をまん丸にして言葉を失った、成功かな。
「ふふ、ははははは」
 少しの間の後男性は思いっきり笑い出した、私はついムキになって叫ぶ。
「何がおかしいんですか!」
「な、何がって……その顔……なんなの」
 確かに鏡には薄らとしか映らないので大体でやったがそんなにおかしかったのだろうか。
「な、な」
 今回も失敗した、退避しよう。
「待って!!」
 部屋から出ていこうとした私は手に何かがすり抜ける感覚を感じた。
 後ろを振り向くと男性が私の手を掴もうとしていた。
「えっと……」
 私は言葉を失った、まだ金縛りは解いていないはずなのに……
「あの、お名前を」
 私は真っ白になった頭で自然に答えていた。
「えと……羽馴……麗華」
「羽馴さん、ですか」
「えと、それじゃ!」
 私は頭が回らないままその部屋を出た。

健道 長楽
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健道 長楽

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