捜索の水曜日

 昨日、火曜日のことだ
「未練……か」
 晴らすと言ったものの未練がわからないんじゃあ何もできない。
 俺はインターネットで名前を検索してみた。
「えーと……ん?」
 俺はある新聞社の記事を見つけた。
 {狂気、ただ殺したかった、残虐な通り魔}
 そこに書かれていたのは数ヵ月前に起きた通り魔事件の記事、羽馴さんはその被害者で数日後に死亡したらしい。
 俺はその記事に関する情報を調べた、羽馴さんの母親が出ているニュース動画で俺の手は止まった。

 羽馴さんの母親の言葉はこうだった。
 {あの子、多分さみしがっています、私達の家系は長生きで……あの子、多分一人ぼっちなんです}
「まさか……これか?」
 俺はすぐさま学校用のカレンダーを書き直して予定を開けた。

 その翌日、つまり今日、俺は図書館にいた、読んでいるのはもちろん幽霊関係の本だ、昨日の夜羽馴さんは出てこなかった。
「なんとかして……」
 なんとかしてこっちから羽馴さんに接触したい、その思いで本を調べ、書いてあった物に必要な物を揃えた。

 幽霊が出やすいと言われる夜に簡単に出来る方法をすべて試した、しかし何も起きなかった。
「これもダメか……」
 あと試していないのは二つだった、そのうちのひとつを試そうとした時、目の前が真っ暗になった、立ちくらみのようだ。
 その後の体調は優れず、俺は二つを試せないまま寝ることにした。
 ベッドに入り少しして睡魔に身を任せようとした時、足の方に羽馴さんが見えた……気がしたが睡魔に耐え切れず俺は眠りに落ちた。


「わ……ダメ……」
 数時間後、おそらく水曜日の夜中呟く声が聞こえた。 
「ん……どうしました?」
 寝ぼけたままの頭で聞いてみた。
「えっ……起きていたんですか?」
 その声で分かった、やはり羽馴さんだ。
「まだ寝ぼけていますけど」
 少し笑いながら起き上がった、しかし羽馴さんの姿は無かった。
「あれ……夢……か?」
 俺はただ部屋の壁を見つめるばかりだった。

健道 長楽
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健道 長楽

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