2年生に進級して、みやびは、美しさに磨きがかかっていった。
「あの先輩、キレイだなあ」
入部してきた1年生がざわつく。
「憧れちゃう」
1年生のマネージャーも、うっとりと見つめる。今年はマネージャーが3人入った。勇太が口のうまさで誘ってきた成果だ。
たまにはあの軽さが役立つもんなんだな。秀典は素直に感心していた。
「部内恋愛は禁止だからね。部員さんには皆、平等にね」
みやびは優しく、だがしっかりと目を見つめて後輩に言い渡した。
早く仕事を思えてもらおうと、上手に先輩として振舞っている。
やるなあ、と秀典はただ感心していた。
3年生になると同時に、マネージャーの先輩は2人とも引退してしまったのだ。
2人とも、かなりレベルの高い大学を志望しているらしい。
いきなり1人きりになってしまったみやびだったが、2年生だけでなく3年生の分もしっかりと仕事をこなしていた。
さすがにテーピングは昼休みだけで間に合わないと、可能な限りは部員同士で互いに巻くようになった。自分でできることは自分で。
今までマネージャーに甘え過ぎていたのだ。
マネージャーもちゃんと昼休みに弁当が食べられるようにしよう。
勇太の提案に、異議を唱える者はいなかった。
秀典もそうすべきだと思っていた。今まで言えなかったけど。
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