第二章 首飾りと情報屋 1
「では、行きましょうか」
いつものように俊輔の家に集まった麗羅と流夏。この日は少し様子が違う。流夏の妹を探しに行くのだ。
「そもそも俊輔さんはどうやってその情報屋さんを見付けたんですか?」
歩きながら麗羅が俊輔に尋ねた。いろいろなことを知っている彼が不思議だったのだ。
「いずれお見せすることになると思いますが、俺の能力ならばある程度の情報は収集出来るんです」
「本来なら情報屋に頼る必要はないくらい、コイツの情報収集能力は優れてる」
「それでも、ヨウカさんを見付けられなかったんですね?」
「情けないことにその通りなんです。今から訪ねる情報屋も、見付けるまでかなり時間がかかりました」
そう言って俊輔は眉間に皺を寄せた。そんな表情ですら恐ろしいくらい綺麗な俊輔を流石だと思いながら、麗羅は話を続けた。
「情報屋はすぐに見付かっては商売になりませんからね」
「そう言ってるのにコイツは気にしてんだよ」
「気にしなくていいんじゃないですか?」
「ありがとうございます」
そう言って綺麗に笑った俊輔に、麗羅はぽかんとみとれてしまった。
「着きましたよ」
「あ、はい」
俊輔に声をかけられ、我に返る麗羅。その一連が気に食わないらしい流夏は聞こえないように舌打ちをした。
「では、入りましょうか」
「てめぇ!何しやがる!」
俊輔が入ろうとした扉の向こうからそんな声がした。
「あまりいい予感はしねぇな」
扉の向こうからは複数の男の怒鳴り声が聞こえた。
「どうやら料金を払えなかった男を、情報屋が殴ったらしいですね」
「よく聞き取れましたね、俊輔さん」
「ありがとうございます。あっ」
俊輔が小さく声をあげた。
「二人とも、扉から離れて下さい」
そう言われてすぐに二人は扉から飛び退いた。俊輔が扉から離れた瞬間、中から男が飛び出して来た。
「危ねぇな」
正確には中から飛ばされて来た、だった。そして次々と中から外へ男が飛ばされて来て、積み重なった。
「お金は、いただく」
そう言って中から現れたのは細身の少年だった。