第一章 転校生と眼鏡と小さな侍 5

お互いが剣を構えて数秒後、突然麗羅の姿が消えた。流夏がそれを認識した直後、流夏の頭上に麗羅が現れた。

速い、と思いながら流夏が麗羅の斬撃を回避する。そこから流夏が反撃した。それをすぐに麗羅が剣で止めて後ろに跳び、また少し距離が出来た。ほんの数秒のことだった。

しばらくの間互角の戦いが続く。しかし、突然流夏の動きが止まった。

「流夏!?」

「これで終わりです」

その隙を見逃さない麗羅の剣が流夏に振り下ろされ、首筋でピタリと止まった。

「ありがとうございました、流夏さん」

そう言ってお辞儀をして麗羅が剣をしまった。しかし、流夏の反応はない。

「流夏?負けたのが悔しいのですか?」

「どうかしましたか?流夏さん」

二人が声を掛けるが、流夏から返事はない。

「流夏?」

パタリ、と流夏は無言で倒れた。それを麗羅が思わず支え、俊輔が驚いて駆け寄った。

「とりあえず、中へ運びましょう」

「はい」

俊輔が流夏を抱え、一同は裏庭を後にした。

七条雫
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